ペーパーレス化を受け入れられない人の特徴

ペーパーレス化に限らず、新しい試みに対して拒絶反応を示す人は必ず居ます。

ペーパーレス化のために、パソコン・スキャナー・ファイルサーバー・タブレット等を導入して、ITインフラの設備投資をしたのにも関わらず、一向にペーパーレス化が進まないのには、それを受け入れられない抵抗勢力になっている人が、少なからず存在するケースが多くなっています。

受け入れられない人の特徴と原因を探り、その対策を考える事がペーパーレス化を進める事に繋がります。

ペーパーレス化を受け入れられない人の特徴を、解説します。

目次

業務フローを変えたくない

ペーパーレス化をするという事は、現在行っている業務フローを見直して、徹底的に無駄を排除する中で、電子化を進めるという事です。

どんな仕事でも積み上げてきた「やり方」が有ります。手慣れている手順を捨てて新しい事・手順を習得する事に対して、労力を割くことが面倒くさい、今までの仕事を否定されたと短絡的に捉えて、ペーパーレス化に対して、積極的に取り組めない方が、一定数は必ず出ます。

これらの抵抗勢力は、「一般的に若手よりもベテラン社員が多い」という記述が専門書にも多く出てきますが、現実はそれほど単純ではありません。

頭が柔らかく、新しい物事に抵抗が薄いと考える20代・30代の若手が、「なんでこれ以上、訳のわからない仕事を増やすんだ!?」「ここまでせっかく覚えて慣れてきた手順を、変えられるのは困る!」「別に今のやり方で、何も困っていない」等、ペーパーレス化を否定的に捉えているケースが多く有ります。

頭ごなしに強制しても、ペーパーレス化は進みません。大切なのは意義を理解してもらう事です。

新しい時代になって、新しい技術が出てきている。
その技術を積極的に利用する変化に対応出来ないという事は、「自動車レースに、自分だけ乗り慣れた自転車で出場して競う」状態になるリスクを、結果として自分や会社が負うことになる旨を説明し、理解して貰う必要があります。

ペーパーレス化する事で、仕事が楽で効率的になり生産性が向上し、コスト削減に繋がる「意義」を辛抱強く説いてください。

ITリテラシーが低い

ペーパーレス化の導入には、社員のITリテラシー向上が確実に必要になります。

デバイス・ツール等の機器が導入されても、特定の人間だけしか使っていない・使えない状態では、決してペーパーレス化は広がっていきません。誰もが気軽に使える環境づくりがペーパーレス化には大切ですが、ITリテラシーの向上が無くては絵に描いた餅になります。

使い方がろくに解らない機器を、現状の業務フローを変えてまで使うことを誰もせずに、今まで通りの業務フローを重ね続ける事になり、日にちだけが経過して、ペーパーレス化は一行に進みません。

ITリテラシーの学習と向上によって、ペーパーレス化は効率的に、しかも楽に仕事が進められる様になる事を説明した上で、定期的にツールの具体的な利用方法等をレクチャーする研修会を設けてください。
さらに、導入する部門ごとに「いつでも気軽に質問できるリーダー」の配置をする事で、ITリテラシーの向上に努めることが必要です。

また、経営陣やトップのITリテラシーが低い場合も、解消する事が重要です。
ペーパーレス化は、経営陣の理解が無いままでは成功することは困難です。
その意義をしっかり理解してもらい、率先してペーパーレス化に参加することは、やらざるを得ないムードが広がり、社内全体のITリテラシーの向上に繋がります。

コスト意識が低い

仕事を進める中で、コストを意識しないビジネスマンは居ません。
しかし、直接的なコストにはシビアでも、間接的なコストは気に留めない方も多いのが現状です。
「合理的に仕事を進める上で、掛かるコストは仕方が無い」という既成概念が、ペーパーレス化を進める中で抵抗勢力になります。

たとえば、地方自治体長野市では、ペーパーレス会議の導入で、78回の会議で14万枚の紙の使用を削減して、300万円の印刷コストを削減しました。
会議の準備に掛かっていた時間も6分の1に短縮されています。

コスト削減によって、どこかに我慢を強いるのではなく、新しい時間を創出出来て可能性が広がる。ペーパーレス化で実現出来ている事実と意義の説明が必要です。

ペーパーレス化は、単純に紙の消費を減らすという「コスト削減効果」だけでなく、時間の消費を減らす事で、人件費の抑制効果を含めた多くのプラスに繋がります。

淡々とこなす作業が苦痛

紙からペーパーレス化に移行するためには、どうしても時間が掛かります。
その期間中は、煩わしさが常に付いて回ると言っても過言ではありません。
それを不便だと感じる人も多くなります。

リアルタイムで進行する仕事で発生すペーパーレス化は、これはデータで残す必要が有ると判断した物をデジタル化する必要が有ります。今の仕事に対して、直接有益で無い仕事がひとつ増えると考えれば、それを淡々とこなす事が苦痛だったり、仕事が溜まってくれば、作業に嫌悪を感じたりする事も有るでしょう。

また、ペーパーレス化には、過去の資料もデジタル化する事が必要です。
外部業者に委託することも出来ますが、必要な書類と不要な書類を仕分けする必要が有り、外部に出す事が躊躇われる内容の書類もあります。
膨大な書類と向かい合って、淡々と作業を進める事が必要になり、疑問を感じる方も多くなります。

ペーパーレス化は目的では無く、あくまで手段だという事を明快にしておく必要はありますが、多くの場合に意識が高まりません。
ペーパーレス化を完遂することで、実際の仕事が大幅に合理的になり、大きなメリットを生むことを繰り返し説明して、明確なヴィジョンを共有する事で目的意識を社員全員で共有する事が必要です。

対処柔軟性に欠ける

ペーパーレス化が進まない理由に、紙文化が定着している事が挙げられます。
他社との関係性などにおいて、紙出力が必要な部分も有ります。ペーパーレス化は、取捨選択しながら、デジタル化する事が本質にあります。

特に、ペーパーレス化を進行している最中には、紙書類とアナログが同時に存在している中で仕事をこなしていく必要性があり、「紙の方が、仕事が早い」「紙の方が楽だ」という状況と常に隣り合わせにあります。

柔軟に物事に対処が出来て、「こうすればデジタル化しても仕事の進行に問題無い」「これなら合理的に仕事が進められる」という考え方が出来れば、ペーパーレス化はどんどん進行していきます。

既存のやり方に拘っているタイプの方は、ペーパーレス化が進みにくい傾向に有ります。仕事の本質は人それぞれで、内容にも個々に大きな違いがあり、単一化されたレクチャーだけでは補うことが難しく、ケースバイケースでリーダー等の指導者が、辛抱強く対応解決策を一緒に考えていく必要が有ります。

整理整頓が苦手

個人の性格だけでは無く、職場環境の問題もありますが、必要な書類やスタッフが共用で利用する資料書類が収納棚に収まりきらず、通路や棚の上まで溢れているオフィスは多く、段ボールに入った状態で山積みになっているケースも多々あります。

これらは絶対的なスペースが不足していることもありますが、取捨選択が出来ていない事も少なくありません。「後で整理すればいいや」というタイプの方は、ペーパーレス化でも自ずと同じ事をしがちになります。

そのタイプの方が終業後に自分の机を見返した時に、すっきりしていることは、まず無いでしょう。机の上に資料が山積みで、足下にも重なっていることが多くなります。
セキュリティー上も好ましくなく、問題が有るからこそペーパーレス化が有効で、フリーアドレスが実現すれば解決します。

しかし、ペーパーレス化には整理整頓が必要不可欠です。ペーパーレス化は整理整頓を行いながら、取捨選択を繰り返す作業でもあり、苦手な方は無駄が多くなり進行が停滞する事で、ペーパーレス化は停滞していきます。

基本的な整理整頓・取捨選択のノウハウは、繰り返してレクチャーする事が必要です。「各が理解して、取り入れて進行してみる・問題が有れば改善策を検討する」を繰り返す事が、結果的にペーパーレス化を進める事に繋がります。

まとめ

今後の日本の人口構成を考えれば、労働人口の減少は避けられません。

少ない人間で、いかに時間を効率的に使って生産性を上げていくか?という課題に対して、ペーパーレス化は必要不可欠です。

新しい試みには、現状維持の方が楽だと考える抵抗勢力が必ず現れます。
ペーパーレス化は現状維持よりも、ずっと仕事が楽に進められる様になる事を説明する中で、意義を浸透させることが大切です。

この記事を書いた人

名古屋在住のIT・通信・格安SIMライターです。

プリンターはDOS時代のドットプリンターから使い始めて
初期のインクジェット、モノクロレーザープリンター
カラーレーザープリンターを使ってきて
モノクロ複合機を経てカラーデジタル複合機リースに到達。

業務用テキスタイル熱転写プリンター
業務用テキスタイルインクジェットプリンター見学に
国内・海外工場に何度も足を運ぶマニアで
日夜情報収集に励んでいます。

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