ペーパーレスの代行サービスは実際はどうなのか

ペーパーレス化を始めようと思ったとき、問題になるのがすでに紙で保管してある資料のスキャニングではないでしょうか?

数十枚程度ならスキャナーさえあれば1日で作業は終わりますが、万単位と膨大な数の資料を業務の合間にスキャンするのはなかなか難しいものです。

そこで便利なサービスに「ペーパーレスの代行サービス」がありますが、オフィスの大切な資料をスキャンしてもらうため、「実際どうなの?」と疑問に思っている人もいるでしょう。

今回はペーパーレス代行サービスのメリットやデメリット、主なサービス内容を紹介していきます。

目次

ペーパーレスの代行サービスとは?

ペーパーレスの代行サービスとは、冒頭で説明したとおり、ペーパーレス化のために紙の資料をスキャニングしてくれるサービスのことです。スキャン対象は図面や資料、絵画、新聞などの紙類となり、PDFなどで電子化してくれます。

どの資料がスキャン可能か、どのサイズの紙まで対応してくれるかはサービス会社によって異なるため、代行するときはまずスキャンしてもらう紙の種類とボリュームをチェックしておきましょう。

ペーパーレス化ノウハウの提供

ペーパーレスの代行業者は、ペーパーレス化のための多くのノウハウを持っています。

単純にスキャンするだけでは、ペーパーレス化は絶対に成功しません。
ペーパーレス化の最大の目的は、業務の効率化にあります。
スキャンしたファイルを、社内の誰もが簡単に、目的のファイルに到達出来る様にするためには、後から手を加えて改善する事は現実として絶望的です。

はじめの一歩から、後々に利用しやすいルールの型に嵌める必要が有ります。
具体的には保存方法・ファイル名・フォルダ仕訳等を、確立された一定のルールを用いる事で、従来は個人のやり方で行っていたデータ化やファイルの仕訳方法を統一します。

ペーパーレス化のためには、過去のデータだけでなく現在進行形の資料もスキャンをしていく必要が有ります。
ペーパーレス化の合理的なルールは、一般の企業にノウハウは少なく、ペーパーレス化を始める時には、代行サービスのノウハウを吸収して、自社のノウハウにする事がペーパーレス化の成功に繋がります。

代行業者は、ペーパーレス化スタートから、その後を見据えて進めていくのに、有益なノウハウを提供してくれます。

e-文書法に則ったスキャン

e-文書法は2005年施行された、企業が扱う文書の電子化の法律です。
法人税法・会社法・商法・証券取引法等で保管が義務づけられている、会計帳簿・契約書・領収書・請求書・納品書・預金通帳・見積書・注文書などの財務・税金関係書類・定款・株主総会・取締役会議事録等の会社関係書類、貸借対照表・損益計算書等の企業決算に関わる重要書類は、紙媒体だけでなく電子化した文書ファイル(電磁的記録)での保存を認める法律で、電子文書法と呼ばれる事もあります。

これらの書類を電子化するのには、法令要件を満たすことが必要になります。

文書の原本が改竄されることなく、正しいプロセスでデジタル化して、電子署名とタイムスタンプを付与したものでなくてはなりません。

一般企業でペーパーレス化が難しい、e-文書法をクリアした電子化作業を、代行業者では行っています。

ペーパーレスの代行サービスを利用するメリットとデメリット

ペーパーレスの代行サービスを利用するメリットとデメリットは以下のとおりです。

代行サービスを利用するメリット

ペーパーレス化の代行サービスを利用するメリットは、以下が有ります。

膨大な資料をスキャンする手間が省ける

資料のスキャンはボタン一つでできますが、枚数が多いと簡単にとはいきません。日常業務と並行して作業を行うので、全ての資料をスキャンし終わるまでに1ヶ月以上かかってしまうこともあるでしょう。

さらにスキャンしたデータをとりあえずパソコンに突っ込んでおけばいいというものではなく、社員全員が快適に閲覧できよう、データを整理したあとストレージサービスを利用して保管しておかなければなりません。

代行サービスを利用すればスキャンの時間は必要ありませんし、スキャンしてもらったデータを簡単に仕分けるだけで、あとはストレージサービスへ保管すればOKです。

素人よりもキレイにスキャンしてくれる

また、スキャンし慣れていない人だと資料が曲がってしまったり、文字が薄くて見づらくなってしまうこともありますが、代行サービスならプロが行うのでそのような問題も解決できるでしょう。

セキュリティ対策の向上

単純に電子化しただけでは、簡単にコピー・閲覧が誰にでも可能であり、問題が有ります。
PDFファイルにパスワードを付与する事は簡単ですが、書類ごとにアクセス制限を掛けて取扱者を限定することや、暗号化するための基準作成および暗号化ソフトの導入には、専門知識とノウハウが必要になります。

導入企業に最適なルール作成から依頼が出来て、使い方に合ったセキュリティ体制を構築出来ます。

本来の業務に専念出来る

自社でスキャン作業を行えば、本来の業務時間が大幅に削られることになり、業務効率は大幅に低下します。
ペーパーレス化は大きな労力とノウハウや知識も必要になり、確実に大きな負担になります。

ストレスが溜まるペーパーレス化の作業は外部に委託することで、通常業務に専念しながら、ペーパーレス化を同時に進める事が出来ます。

代行サービスを利用するデメリット

代行サービスを利用するデメリットは、以下が有ります。

データが漏洩する危険性がある

どのサービス業者もセキュリティには力を入れていますが、データが漏れてしまう可能性はゼロではありませんので、万が一のことは頭に入れておく必要があります。

もっとも安心なのは、依頼する企業内に専用のスキャンルームが設けられていて、防犯カメラや入退出管理が厳重になされている事です。
書類が移動する機会が増えれば、データ漏洩リスクも必然的に増えます。
書類の運搬も専用車両で現場に直行する方が、宅配便を利用するよりも情報漏洩リスクが防げます。

不要になった紙書類を、単純にシュレッダーするのではなく、完全に再現不可能な状態にして破棄を請け負うサービスを提供している事も有ります。

サービス利用にコストがかかる

サービスにかかるコストについては、社内でスキャンしたときの人件費と比較してみると良いでしょう。

目安としてはA4サイズの用紙で3,000枚分のスキャンを行うのに、基本料金として4万円から5万円程度になります。
厚さ10CM程度の事務用ファイルでは、概ね6冊分程度で、基本料金として4万円から5万円程度です。

基本料金だけで済む事は少なく、実際に企業の実情に合った仕訳やセキュリティ対策に対するオプション料金が加算されることも、当初から考えておく必要が有ります。

ペーパーレス化の代行サービス業者の主なサービス内容

ペーパーレス化の代行サービスを行っている業者はいくつかありますので、業者ごとにサービスの内容を見ていきましょう。

業者名 サービス内容
株式会社シスプロ 会議資料、経理文書、設計図などをスキャンしてくれる。A0サイズからA4サイズまでのスキャンに対応。
アーカイブ株式会社 契約書、図面、技術文書、裁判資料などさまざまな資料をスキャン。資料によって最適なスキャン機器を選んでくれる。
大塚商会 サービス業や製造業などあらゆる業種で必要な書類のスキャンに対応。二重送り防止機能などによりスキャン漏れを防いでくれる。
株式会社うるる これまで4,000社以上の企業の代行を行なった実績を持っている。一般書類以外に絵画などもスキャンしてくれる。

まとめ

ペーパーレス化の代行サービスを利用すると、紙で保管している書類をスキャンするための手間が省けるため、大量にスキャンが必要な企業にはぜひ利用して欲しいものです。ただし費用がかかる、情報が漏れる可能性がゼロではないというデメリットもありますから、業者選びは慎重に行いましょう。

この記事を書いた人

OLとして7年間中小企業に勤務したのち、Webライターとして独立。現在はプリンター関係の記事を中心に多数の媒体へ寄稿中。

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