近年、日本企業に対するサイバー攻撃は増加傾向にあり、十分な対策がなければ瞬く間に情報漏洩、あるいは多額の金銭要求などに発展します。
こういった事態を回避する上で、コピー機のセキュリティ対策も欠かせない問題です。今回はコピー機にセキュリティ対策が必要な理由や、どのような対策を施せば良いのかについて、ご紹介します。
複合機は常に狙われる情報の宝庫
悪意を持った第三者に、情報を狙われる危険性は周知の事実ですから、何らかのセキュリティ対策を考えていない企業や事業所は少ないと言えます。
しかし、情報を取り扱うという意味でパソコンやサーバーに対して、セキュリティ対策を取るのは当然ですが、複合機についてはさほど気を回していない事が圧倒的に多くなっています。
複合機の情報漏洩が致命的になる可能性
複合機は単独で存在しているケースは現在では少なく、ネットワークに接続して利用しているケースが殆どです。
普段利用している印刷行為からは想像つきませんが、複合機は高度なIT機器の側面を持っています。
印刷や書類のスキャンに活躍する複合機・コピー機ですが、その仕組みをよく考えてみると実に多くのセキュリティリスクを備えていることがわかります。
コピー機は印刷やスキャンを行う際、一時的に書類の情報を本体に記録し、それを再度紙に印刷する、というプロセスを採用しています。
複合機を利用している企業や官公庁では、外部に出る事が許されない機密情報や個人情報が存在していて、セキュリティ対策が比較的甘い複合機は絶好のターゲットになります。
複合機のセキュリティ対策が不充分な場合に、起こり得るリスクを考えてみましょう。
不正操作
不正アクセスは、ネットワークに接続された複合機なら外部からの攻撃によって、内部の情報が抜き取られるリスクがあります。
ネットワークによる外部からの侵入だけで無く、ネットワーク内の利用ができる内部の人間も、アクセス権の設定が無いなどセキュリティ対策に不備がある場合、不正に情報が漏洩するリスクがあります。
印刷ジョブコピー
外部からの攻撃によって、印刷ジョブの内容が全て第三者に筒抜けになるリスクがあります。
印刷内容が全て漏洩する事態は、憂慮すべき大問題です。
攻撃と破壊とバックドア
サーバーやパソコンに外部からアタックする事が困難な場合、セキュリティ対策の甘い複合機がターゲットになる事は十分考えられます。
乗っ取られた上で、他サーバーの攻撃の踏み台に利用された場合、知らなかったでは済まないケースが多くなります。
不正アクセスによって複合機の機能が利用できなくなったり、ネットワークを経由して他のパソコンやサーバーを機能不全に陥れられたりするリスクがあります。
複合機のセキュリティ対策が施されていないと、バックドアと呼ばれる外部からの不正アクセスの手段になるリスクがあります。
複合機のセキュリティについては、以下も是非ご覧下さい。
プリンターのセキュリティ対策
このようなプリンターのセキュリティリスクを少しでも小さくするためには、限られた手段をフル活用する必要があります。
ローカルネットワークに限定した利用を
例えば、プリンターをインターネットに直接接続せず、ローカルでのみ利用するというアプローチです。不特定多数のユーザーと繋がる可能性のあるインターネットから隔離することで、情報漏洩を防ぐことができます。
しかしこの対策は、現代の利便性を考えれば現実的とは言えない対策です。
簡単にできる対策の第一歩は、社内のネットワーク利用ルールを明文化して、アクセス権を設定して、関係機器全てのソフトウェアのアップデートを行って下さい。
ただし、これらは外部への対策ではなく内部の対策でしかありません。
VPNの利用
外部からのアクセス対策として有効なのは、VPN接続です。
専用線による接続がセキュリティ対策には最も有効ですが、必要な経費が高くなる上に、1対1の接続にしか利用できないため、複数の拠点での利用には向かず、利便性も損なわれます。
専用線に変わる手段として、仮想専用線のVPN(Virtual Private Network)利用が挙げられます。
通常のインターネット接続とは異なり、簡単に不正アクセスができないので、セキュリティ対策として有効なだけでなく、必要なアクセスは外出先などの外部からも利用ができるため、テレワークなど在宅ワークを奨励している企業では、不可欠な手段になっています。
VPNの詳細については、以下も是非併せてご覧下さい。
セキュリティ機能重視の複合機を利用する
複合機自体にセキュリティ対策を行っている機種も、数多く登場しています。
たとえば、「ISO/IEC 15408」認証を取得している機種なら、セキュリティ機能を充実させている基準の国際標準規格をパスしているため、セキュリティを重視した複合機選びの指針の一つになります。
セキュリティを重視した複合機選びをまとめた、以下も是非ご覧下さい。
遠隔操作・遠隔監視
複合機の不審な動きをいち早くキャッチして、サイバー攻撃から守り対策を行う為には、複合機の側に居なくても監視ができる、「遠隔操作」「遠隔監視」が有効な手段になります。
複数の複合機が社内に存在していても、全国に支社が点在している場合でも、管理者が複合機を一括して遠隔操作・遠隔監視ができるサービスが提供されています。
ただし、24時間365日に渡って監視をし続けるのは、大きな負担になります。
そこで利用したいのは、メーカーが提供している遠隔監視サービスです。
プリンターを守る遠隔監視サービス
プリンターのセキュリティに努める遠隔サービスには、例えば以下のようなサービスがあります。
NETEYE(ネットアイ)
キヤノンが提供するネットアイは、プリンターの煩雑な管理・メンテナンス業務を軽減してくれるサービスです。
エラーを検知した際にはいち早くユーザーへ連絡を入れてくれるだけでなく、ファームウェアアップデートなどを自動で案内してくれるため、セキュリティ対策が遅れてしまう心配もありません。
公式サイト:https://cweb.canon.jp/imageprograf/neteye-benefit/
@Remote
リコーの@Remoteは、遠隔診断保守サービスで定期的な複合機の診断を行い、トラブルの有無をチェックしてくれます。
故障やトラブルが発生の際には自動通報システムで状況が送信され、折り返しユーザーへコールセンターから連絡が届きます。
複合機の維持管理を自動化する上でも役立つサービスです。
公式サイト:https://www.ricoh.co.jp/remote/service/
EP-BBサービス
富士フィルムが行っているEP-BBサービスは、常に複合機の状態を監視して、ユーザーが利用できる専用ページで、詳細が確認できます。
公式サイト https://www.fujifilm.com/fb/support/service/ep-bb
おわりに
プリンターのセキュリティ対策は限定されていますが、それでもできることがないわけではありません。遠隔監視サービスを活用するなどして、自社の複合機をサイバー犯罪やトラブルから守りましょう。