複合機でFAX送信するときの「0発信」とは?どんな時に必要?

オフィスにある複合機はコピーだけでなく、FAX機能も担っています。
ともすれば忘れがちですが、複合機にも電話線は繋がっています。
ビジネスフォンが導入されていれば、交換機から見れば複合機も数ある電話の中の1つです。
そのため思わぬミスが起こることもあり、注意が必要です。

今回はそんな複合機で「0発信」が必要な理由や利用するシーンについて解説します。
なんとなく0発信を使っていた人は、この機会に理解を深めていただければと思います。

目次

FAXの運用

FAXの歴史ですが、実は電話よりも古いという事実が有ります。
1843年に英国のアレクサンダーベインによって発明されたのは、遠く離れた相手に特定の通信手段を使う事で、画像や文章を送る仕組みです。
これがFAX(facsimile)の原型で、アメリカのベルが電話機を発明する33年前のことです。

時代と共にFAXは進化を遂げましたが、モノクロFAXの基本原理は白を「0」・黒を「1」とした2進数を電気信号として認識して、伝達することは変わり有りません。

カラーFAXも登場していますが、インターネットの普及で画像が簡単に送れる環境が整い普及には至っていません。
インターネットFAX・FAX文書のデジタル化等ペーパーレス化で、利用方法も変化しつつあります。

しかし、基本的なモノクロFAXの運用に大きな変化は有りません。
基本的な複合機のFAX接続は、アナログ電話回線に接続します。

一般加入電話

通常の一本の回線・一つの電話番号で運用する場合です。
それほどFAXを多用しない個人事業主やスモールオフィスや一般家庭では、FAXの番号を一回線設けるよりも、一回線で両方を運用した方が合理的です。

通話中にFAXが受けられない・送信出来ない不便さは有りますが、頻度が少なければ気にならないでしょう。

電話線を「LINE」に接続して、「TEL」に通話用の電話を接続します。

ISDN(INSネット64)

光回線の前、ADSLが普及する前は、インターネットを電話回線で利用していて、アナログモデムに変わる高速(当時)接続手段として普及したISDNですが、現在でもスモールオフィス等には現役で多く存在しています。

インターネット接続に利用する事は殆ど無いですが、一本の電話回線で2回線を使用することが出来て、オプションで複数番号(3つまで)を収得して利用する事が出来ます。

ISDNのターミナルアダプターに複数有る「TEL」の中から一つを選択して、複合機の「LINE」に接続して利用します。
通話用の電話は別のTELポートに接続して、別の電話番号で運用します。

ひかり電話

比較的新しい事務所では、ISDNに変わり光電話の導入が増えています。
電話番号が3つ必要でなければ、光回線と組み合わせて利用が出来て合理的です。

光電話対応機器の「TEL」ポートから、複合機の「LINE」に接続して利用します。
スーパーG3(33.6kbps)で通信すると通信エラーが発生する場合が有り、複合機の設定を14.4kbps(G3)に変更して下さい。

交換機(PBX)

ビジネスフォンに用いられる交換機の設置は、専門業者にお願いする必要が有ります。
アナログ回線の配線を願い出て(FAXに利用する旨で、全て理解してくれます)、PBXのアナログ回線を複合機のLINEに接続します。

PBX回線に接続の場合は、複合機の設定をPBX設定に変更する必要があります。
さらに大切なのは、外信発信番号「0」を使用するに設定します。

0発信とは?

そもそも0発信とは何なのか、基本的な情報について解説していきます。

0発信とは外線に切り替えるためのダイヤル操作

0発信とは、内線につながっている複合機を外線に切り替えるために必要なダイヤル操作です。
そもそも複合機とは「ビジネスフォン」と呼ばれる種類の電話で、一般的な家庭にある電話とは仕様が違います。
ビジネスフォンと通常の電話の一番の違いは、内線機能です。

内線とは、電話回線を利用しないで社内通話をしたり、通話中の電話を社内の別の場所に渡したりする機能ですね。
ビジネスフォンでは、受話器を上げた時に内線がデフォルトになっています。
たとえば、通常の電話で受話器を上げて110をダイヤルすれば警察に繋がりますが、ビジネスフォンで同じダイヤルすると、内線110に繋がります。

外線ボタンがなければ内線用の電話というわけではない

ビジネスフォンの機種というと思い浮かぶのは、ボタンが沢山ついているタイプだと思います。
でも、明らかにビジネスフォンが並ぶ企業の中で、明らかにそれとは違うお洒落系のデザインの電話が付いているのを見たことありませんか?よくあるのは、受付やショールームですね。

「外線ボタンが付いていないから、内線専用でしょ?」と考えるのは早計です。
発信規制を掛けていなければ、0をダイヤルすることで外線発信が可能になっています。

昔あった企業内交換機は、主装置と呼ばれるコンパクトなモノに変わりました。
その頃からあった内線から外線発信への切替と、考え方は基本的に変わっていません。

受話器を上げると内線発信状態になっていて、0発信で「ツー」という外線発信音に切り替わります。企業だけで無く、ビジネスホテル等の部屋にある電話での外線発信は、0ダイヤルの経験がある方も多いでしょう。

主装置(交換機)外線切替は初期設定で0になっています。別の番号に変更も可能ですが、変える必要やメリットも無いので、そのまま使う事が大半です。

複合機FAXで0発信が不要な場合

複合機でFAXを送信するのに、頭に0を付ける必要の無い場合もあります。
必要な回線下に接続されていても、意図的にFAXには0発信を不要に出来る機能もあります。
使う環境や頻度によって、対応して下さい。

直接電話回線と繋いでいれば0発信は不要

大型の複合機でも交換機経由ではなく、電話回線と直接繋いでいる場合は家庭用のFAXと同じです。
通常のダイヤルで当然OKであり0発信も必要ありません。

ビジネスフォン主装置側で0発信を設定

電話と比較すれば、使用頻度の低いFAXで一回線を占有する事は、コスト面で決して合理的とは言えません。
多くの場合はFAXもビジネスフォン交換機主装置の中に組み込み、保有する回線をフルに活用します。

この場合、複合機FAXも0発信が必要になりますが、「自動外線捕捉機能」設定をすることで、0発信を意識せずに通常のダイヤルで外線発信が可能になります。
内線は通話のみしか使用せずに、FAXは外線を使ってのみ使用するオフィスでは、この設定が最適です。

大きな工場や企業等で、社内にある別の場所のFAXへ向けた送信を利用する場合は、社内でも外線FAXになるためコストが掛かるのでオススメしません。
詳細は後述します。

複合機で0発信を設定

交換機主装置側からFAXを見た時には、電話もFAXも同じです。
初期設定では、どちらも内線に繋がった電話であり、外線を利用する時には0発信を行います。

内線も結構な頻度で利用するオフィスでは、主装置側で0発信を設定せずに、FAXの送信先登録FAX番号の頭に0を付けて、登録する事が合理的です。
03-1234-5678のFAX番号は、003-1234-5678で登録します。

交換機側の外線切替に時間が掛かる場合、FAX側から送る電話番号を正しく認識出来ないケースが有ります。
外線に切り替わる前のFAX番号の頭の部分が伝わらないため、外線切替から電話番号の伝達までの時間を空ける必要が有ります。
その場合は、0とファックス番号の間に、「p」(ポーズ)を入力して登録して下さい。
ポーズが入る事で、自動的に外線に繋がってからFAX番号発信までに約2秒間の間隔を空けることで解消出来ます。

登録先に無いFAX番号へ送信する時にのみ、頭に0を付けて送信する必要が有ります。

複合機FAXで0発信が必要な場合

では、どのような場合に複合機のFAXで0発信を使う必要があるのでしょうか。
具体例なども交えながらご紹介します。

内線のFAXがデフォルトの場合は0発信が必要

使いやすさから考えれば、複合FAXは全部そのようになっていても問題無い気もします。
しかし、必ずしもそうではありません。企業によっては内線FAXを使うからです。

たとえば大きな敷地の工場内や、ビル内の1Fと20Fなどの場合を考えてみてください。内線が組み込まれた企業内で離れた場所に書類を運ぶよりも、FAXのやりとりの方が手間も掛からず、外線を使わないのでコストもさほど掛かりません。もちろん、その場合も外線を使用してFAXは出来ますが、本来なら不要の通信コストが発生します。

そんなシチュエーションに置かれている複合機FAXは、外線FAXをする場合は0発信をすることになります。頻度の多い送信先は、番号の頭に0を加えて登録しておけば問題ありません。

FAXに内線番号を割り当てるメリット

0発信が必要なのは、複合機のFAXに内線番号が割り当てられているケースです。
ではなぜFAXに内線番号を割り当てる企業があるのか、そうするメリットについて見てみましょう。

・電話回線が減りコスト削減になる

1つのメリットとしては、内線を割り当てることで電話回線を減らせるからです。
外線を割り当てると1つの端末につき1回線が必要になりますが、社内の電話を内線でつなぐことにより電話回線が減りコスト削減につながります。

・内線同士のFAXなら無料でできる

次に内線同士でFAXを送れば無料で情報のやり取りが可能であることもメリットです。
先ほどのビルの1階と20階の例のように、離れている社員同士でも内線のFAXを使えばコストや手間をかけずに資料を送ることが可能になります。

・情報漏洩のリスクを抑えられる

内線を割り当てるもう一つのメリットは、情報漏洩のリスクを抑えられることです。
仮にFAXを送信した相手が間違えて電話番号に送ってしまっても、FAX信号を受信すれば自動的に切り替えられます。

「0発信を押すのは面倒くさい」と思う人もいるかもしれませんが、内線を割り当てることでさまざまなメリットがあるため、あえて設定している企業もあるのです。

ただ内線を割り当てることで配線工事が必要になったり、機器が接続されている主装置に不具合があればトラブルになったりするので、一定のリスクがあることは理解しておいた方が良いでしょう。

ビジネス利用の場合0発信をしない場合はどうなる?

上記の様な自動的に「0発信」させる設定がされていないFAXの場合、メモリーに入っていない新しい連絡先や、外部の人間が借りて送信する場合・不慣れな新人さんなどには注意が必要です。

たとえば
03-1234-5678に当該FAXで発信をした場合、頭の0で外線に切り替わり
3123-45678に発信をしたことになってしまいます。

一昔前は、頭の3123-4567に発信をして、最後の8は無視する事が起こっていました。偶然市内通話扱いになる同様の番号があれば、全く別の先にFAXをしてしまうトラブルがありました。内容によっては大問題ですね。

現在は発信を受けた電話会社の方で、必要な前の部分だけではなく全部の数字を把握し、繋がらない様になっています。そのため誤発信にはなりませんが、いつまで経ってもFAXが正しく送信されることは、残念ながらありません。

FAXの設定によっては、うっかり0を頭に付けないでFAXを送信した場合、トラブルになる事があります。
充分にご注意ください。

まとめ

複合機のFAXで使われる0発信が必要なわけや、ビジネス利用で発信しないとどうなるかについて説明しました。

今まで何となく使っていた人も多いかもしれませんが、0発信の設定が必要なのにはきちんとした理由があり、内線と外線を切り替えるために必要な操作なのです。

0発信を使わないとうまく送信できないことや、誤送信によるトラブルの恐れがありますので、複合機からFAXを利用する際は気を付けていただければと思います。

この記事を書いた人

名古屋在住のIT・通信・格安SIMライターです。

プリンターはDOS時代のドットプリンターから使い始めて
初期のインクジェット、モノクロレーザープリンター
カラーレーザープリンターを使ってきて
モノクロ複合機を経てカラーデジタル複合機リースに到達。

業務用テキスタイル熱転写プリンター
業務用テキスタイルインクジェットプリンター見学に
国内・海外工場に何度も足を運ぶマニアで
日夜情報収集に励んでいます。

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