一言にプリンターと言っても、種類は色々あります。
どんな世界にもプロ用が存在する様に、一般用途に使われるタイプとプロツールとして使われるプリンターがあり、大まかには「家庭用プリンター」と、「業務用プリンター」に分けられます。
一昔前では、その2つに途方もない性能差があり、明確に区別されていましたが、最近では線引きが曖昧になってきています。
そのため、業務用複合機は流石に家庭で使う事はありませんが、コンパクトな複合タイプは企業だけで無く、家庭用として使用されることも増えています。
今回は、あらためて家庭用プリンターと業務用プリンターの違いを見直して解説します。
スペック面
■サイズ
業務用プリンターの筐体サイズ
「業務用」は大きく重く、簡単に移動は出来ません。トラブル時には筐体を開く必要があるため、機械のサイズ以上に一定のスペースが必要になります。
家庭用プリンターの筐体サイズ
「家庭用」はコンパクトでデスク上や棚の上に置いて使用する事が可能です。
■印刷方式
以前は、「家庭用」はインクジェット式プリンター・「業務用」はレーザー式プリンターと、明確に区別されていました。
しかし、インクジェットプリンターは文字が滲みやすく乾燥時間が一定は必要という、仕事に使うデメリットを克服した、「ビジネスインクジェットプリンター」が開発されて、業務に使われるケースも増えてきました。テレワークの増加と共に今まで無かったニーズも増えています。写真クオリティを再現するのには、インクジェットプリンターの方が向いているので、業務内容によっては仕事現場で重宝されています。
レーザープリンターは、以前と比較して大幅に価格がフレンドリーになっています。扱うサイズがA4までの小型・中型のレーザー複合機は、オフィスでサブに利用するだけでなく、家庭用に設置するケースも増えています。
利用頻度が低いインクジェットプリンター・ビジネスインクジェットプリンターは、インクが乾燥する宿命から、印刷出来ないトラブルが発生したり、印刷時以外にインクを消耗したりすることを嫌い、粉状のトナーを使う事で同様のトラブルが発生しないレーザー方式のプリンターを、家庭に導入するユーザーも多くなっています。
印刷頻度が少ない方は、「あまり印刷しない人向けのプリンターの選び方」も、是非併せてご覧下さい。
エプソンは遠くない将来に、オフィス様のレーザー方式のプリンターから撤退して、インクジェット方式だけに展開を絞る表明を、2022年の11月におこなっています。
印刷方式だけで、業務用と家庭用を分ける事は困難になってきました。
■給紙・対応用紙サイズ
業務用プリンターの用紙サイズ
「業務用」は複数種類の給紙が可能になっていて、使える用紙サイズはA3対応することが大半です。もっと大きなサイズに対応する機種もあり、幅広い仕事のニーズに応えられる仕様になっています。
ただ、オフィスで行う印刷の多くはA4サイズが圧倒的で、サイズや消費電力の小さいA4サイズまで対応の中型複合機を導入する企業も増えています。
メインプリンターとしてもありますが、サブプリンターとして中型複合機を導入する事で業務効率は格段に向上します。
家庭用プリンターの用紙サイズ
「家庭用」は給紙が1種類であることが大半で、用紙サイズはA4以下に対応する事が大半です。
対応用紙サイズを大きくすること・複数種類給紙は、そのままプリンター筐体サイズの大きさに繋がるので、コンパクトサイズが重要なファクターである家庭用の中心は、ある程度絞った紙対応になっています。中にはA3対応した家庭用プリンターもあります。
■印刷スピード
機種によって異なりますが、一般的に「業務用」の方が優れています。
業務用プリンターの印刷スピード
家庭用プリンターも印刷スピードが日々速くなっていると言えますが、大量印刷を日常的にこなす前提で設計されている業務用プリンターは、連続印刷するスピードに長けています。
最低でも1分間に20枚程度は印刷する能力があり、70枚を超えるタイプも販売されています。
業務用プリンターでは、印刷速度の違いが価格にストレートに反映されるケースが多く、当然速い方が高額になります。
高額になっても出来る機能に大きな違いは無く、ユーザーにとって必要な機能をオプションで選択するスタイルが主流になっています。
印刷速度は次項の耐久性にも大きく関わり、印刷速度が速い機種の方が、耐久性も高くなっています。
基本的な処理能力やキャパシティも高いため、データを捌く待機時間も短くスムーズに大人数で使う大量の印刷に耐えます。
家庭用プリンターの印刷スピード
家庭用のプリンターは概ね1分間に15枚以下の印刷速度に留まっていて、早いものでも20枚程度になっています。
日常的に大量印刷を行う設計にはなっていません。
しかし、インクジェットプリンター・ビジネスインクジェットプリンターでは、印刷に熱が必要無いため、業務用・レーザー方式のプリンターでは必要になる、ウォームアップが不要のため、直ぐに1枚を印刷したい用途には向いています。
処理能力が劣るため、データを処理する待機時間は長くなる傾向になります。
印刷スピードについては、「プリンターの印刷速度は大量印刷か、素早く一枚かを確認しよう」も、併せてご覧下さい。
■耐久性
業務用プリンターの耐久性
「業務用」は複雑な機能を備えていても、大量に印刷する環境下でも簡単には音を上げない設計がされていて、コストも掛けられています。メンテナンス契約を結んで使用する事が大半です。
業務用のプリンターはリース契約で利用される事が多い為、法定耐用年数の5年を基準にして支払が計画されます。
そのため、毎日色々な人間が様々な使用方法を行い、印刷枚数が日々積み重なっていっても、きちんと普段からメンテナンスを行えば、長期間の使用に耐えうる基本性能を持っていて、耐久性には充分コストが掛けられていると言えます。
家庭用プリンターの耐久性
「家庭用」はある意味消費財として、駄目になったら買い換える事が基本です。
保証は購入してから一定期間のメーカー保証があります。
長期間利用する前提の設計はされておらず、機能に対してのコスパの高さが優先されています。
故障などのトラブルが発生しても、メーカーに修理を依頼すれば掛かる費用と、新品で入手出来る、新しい同等のモデルの購入費用を天秤に掛ければ、修理をせずに新品の購入を選択するユーザーが、圧倒的に多くなっています。
印刷頻度が高いユーザーほど、プリンターを修理に出せば利用出来ない期間が発生する事も、選択に大きく影響しています。
利用頻度の如何に関わらず、有る程度は使い捨ての潔さが必要になります。
価格面
■本体価格
業務用プリンターの本体価格
「業務用」は通常の通販や量販店では購入出来ないことが殆どです。
価格は100万円以上することがザラに有り、一般的にはリースで購入する事が多くなっています。5年契約で月額1万円から2万円のリース料になる事が多くなっています。
家庭用プリンターの本体価格
「家庭用」は家電量販店や通販で気軽に購入出来て、1万円程度から高くても5万円もあれば購入出来ます。
特にインクジェットプリンターは、本体価格を安価に設定して消耗品の純正インクをユーザーが購入することで収益を上げるビジネスモデルになっています。数回の純正インク交換で本体価格を超えてしまう事も多いのは、そのためです。
■トナー・インク代と1枚あたりのコスト
業務用プリンターの印刷コスト
「業務用」はトナーを購入すれば2万円~3万円程度の費用がかかりますが、保守契約・トナー代込のカウンター契約を結んでいる事が多く、実質トナーコストを気にする事は殆どありません。
カウンター料金は色々な諸事情によって異なりますが、一般的にはモノクロ1円・カラー10円程度です。
家庭用プリンターの印刷コスト
前述の様に「家庭用」は本体価格に比べて純正インク代は高額になっていますが、5,000円程度です。
1枚あたりの印刷インクコストは、機種や使い方の他に印刷する物によっても異なりますが、概ねA4文書モノクロで2円程度・カラーで10円程度です。
効率よく印刷しても、A4サイズを最大で500枚程度でインクは無くなります。使い方によっては200枚程度かそれ以下でインク切れを起こし、頻繁に補充購入する必要があります。
用途に合わせて選ぼう
「家庭用」にするか?「業務用」にするか?選択の目安になるのは、月の印刷枚数です。
1,000枚/月以上の印刷する環境であれば「業務用」、数百枚程度なら「家庭用」を選択することで、コストと業務効率のバランスが取れます。
現在人気があるのは、オフィスでも家庭でも便利に利用できる、手頃なサイズのビジネスプリンターです。プリントだけでは無く、機種によってはコピー・スキャナー・FAXの機能を備えているのに加えて、セキュリティも充実しています。
導入を考えた時に、初期費用が不要な事や、トラブル時のメンテナンス料もインク・トナーの料金や手配を考えなくても良い「サブスク型のレンタル」は、有力な選択肢です。
印刷コストを大幅に下げる、「プリント革命」のレンタルプリンターサービスについては、「プリンターレンタルサービス「プリント革命」のメリット」も、併せて是非ご覧下さい。