コピー機(複合機)のから変な匂いがする「オゾン臭」とは?人体へ影響は?

大型複合機コピー機やレーザープリンターを使っていると、独特な臭いが鼻に付く事があります。

全部の機種で感じられるわけで無く、プリンターが使われる環境にもよりますし、臭覚は個人差が大きく、同じ場所にいても。感じる方と感じない方がいます。
しかし、何となく臭う経験をされた方も多いですよね。

この独特の臭いは、「オゾン臭」と呼ばれるものです。
オゾンと聞くと、多くの人が連想するのはオゾン層で、次に環境問題と続く方が多いと思いますし、人体による害毒も気になります。

コピー機や複合機から出る異臭のオゾン臭は、人体に影響が無いのか?何故出るのか?対策はあるのか?解説していきます。

目次

コピー機からオゾン臭がする原因

リンターの印刷方式は、大きく分けて主にインクジェット方式とレーザー(LED)方式があります。

オゾン臭が発生するのは、レーザー方式のプリンターや複合機に限られた現象です。
それは、構造上の理由があります。
レーザー方式のプリンターで、用紙に印刷される仕組みから見てみましょう。

レーザープリンターの印刷工程

  • ドラムの表面全体に、帯電ローラーによってマイナス静電気を帯びさせます。この工程でドラムは数百ボルトの高電圧になっています。
  • 帯電しているドラムに向けて、レーザー(LED)を照射することで、当たった部分の静電気が除去(電圧が下がる)されます。レーザー方式と呼ばれている所以です。
  • 帯電させたトナーをドラムに接近させると、ドラムの電圧が下がった部分にトナーが付着します。
  • 用紙を送り出してドラムに密着させて、用紙にトナーを転写します。用紙の裏側からプラスの電荷を与えているため、トナーは用紙側へ吸い寄せられていきます。この状態は、トナーが用紙に乗っかっているだけです。
  • 定着ローラーの熱と、加圧ローラーの圧力工程を経る事で、しっかりとトナーを用紙に定着させます。

工程冒頭の静電気を発生させる工程では、「コロナ放電」が行われています。

コロナ放電が行われる過程で、酸素がイオン分解して再結合が行われて、その一部がオゾン(分子式ではO3)に変わり、これがオゾン臭の臭いの元になっています。
意図的に出しているのではなく、工程中の副産物として臭いが出ています。

機種によって臭いの強さが異なる理由

オゾン臭が気になる場合、換気が悪く空気循環していないなら、環境改善をすることで臭いが収まる事は間違いありません。

それ以前に、同じ環境で利用しても、オゾン臭を感じるプリンターの機種と、ほとんど感じない機種があります。

オゾン臭は、レーザープリンターの開発時から気になる存在であり、排気ファンを回して、ファンの前にオゾンフィルターを設置する事で、オゾン濃度を低くする様になっています。

オゾンフィルターが装着されていない機種もあります。
オゾン臭の原因であるコロナ放電を使わない機種では、完全にオゾンの発生を押さえ込めているわけでは有りませんが、通常のレベルでは感じない臭いまで低くなっています。

そのため強いオゾン臭を感じるのは、多くの場合古い機種か、何らかの不調でオゾンが発生している可能性があります。

そもそもオゾンとは

レーザープリンターで出てくるオゾン臭は、あくまで副産物として出ているため、利用方法やメリットは有りませんが、本来オゾン自体はその特性を活かし、有益な化学物質として活かされています。

除菌・脱臭効果

オゾンは強力な除菌脱臭効果を持っています。

意図的にオゾンを発生させる機器も販売されていて、室内の除菌や脱臭の用途で、一般家庭から人の集まる公共施設やホテル、病院などでも利用されています。

空間への効果だけでなく、機器や衣料品などの除菌や消臭にも使われています。

食品を取り扱う工場では、オゾンを入れたオゾン水で洗浄を行ったり、食品の包装の中に期待オゾンを封入したりするなど、鮮度が長持ちする手段として、積極的にオゾンが利用されています。

結合のエネルギーが弱い

結合力の弱いオゾン(O3)は、酸素分子(O2)と酸素原子(O)に分解する特性があります。

この分解によって、他の物質に対し強い酸化作用を及ぼします。

この作用を除菌や抗菌に利用しています。

オゾン臭の人体への影響

コピー機からオゾン臭がすることで、人体への影響が気になる人もいるでしょう。たしかにオゾンは大量になると有害なため、人体に影響を及ぼす恐れがあります。しかし、一定の量以下なら問題なく、コピー機から発生する程度の量であれば許容範囲におさまります。

参考までに、リコーの公式サイトによると“通常の使用方法ではオゾン濃度が許容値(日本産業衛生学会の許容濃度等の勧告):0.1ppm、0.2mg/m3を上回ることはありません。”と記載されています。
参考:リコー 使用上のお願い

人体への影響として、日本オゾン協会が以下の指標を発表しています。

オゾン [ppm] 起きる作用
0.01~0.02 ppm オゾンの臭気を感じる いずれ時間と共に慣れる
0.1 ppm~ 明らかな臭気 のどや鼻への刺激を感じる
0.2~0.5 ppm 3時間から6時間で視力の低下
0.4~0.5 ppm 上部気道への刺激を明らかに感じる
0.6~0.8 ppm 2時間程度で胸痛感知 上部気道から咳
1~2 ppm 疲労感・頭痛・頭重の感知、呼吸機能の変化
5~10 ppm 呼吸困難になり脈拍増加 麻酔症状も
50 ppm~ 1時間以内で生命の危険が起こる

(出典:特定非営利活動法人 日本オゾン協会「オゾンハンドブック」)

ただ臭いが強いと感じるときは、定期的に部屋を換気して、空気を入れ替えることをおすすめします。必要に応じて、新しい機種に買い替えることも有効と考えられます。

まとめ

コピー機や複合機から出てくるオゾンと、人体への影響について解説しました。臭いの元は内部で発生している静電気からくるもので、その副産物としてオゾンが出てくることが原因です。印刷すると臭いが出てくるのは気になると思いますが、コピー機から出てくる程度の量なら影響はないので、安心して利用してください。

 

 

この記事を書いた人

新卒でIT企業に入社し営業を経験。現在はフリーのWebライターとして活動しています。
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