レーザー方式のプリンターを使っているなら、使用するのはインクでなく粉末状のトナーだということは、ご存じの方も多いと思います。
トナーの中身は樹脂と鉄粉を混合したもので、人体には無害と言われています。
未使用のトナーカートリッジを開封する時に、厳重に黒い袋で梱包されているのにお気づきでしょうか?
トナーカートリッジは、日光や湿気、ホコリの類いを嫌います。
染料の入った容器というだけでなく、ICチップを搭載した精密機械の側面もあります。
それほど神経質になる必要はありませんが、実は思っているよりも中のトナーは非常にデリケートなものです。
時間・環境によって変化するため、使用期限が設けられています。
トナーカートリッジの保管方法や、寿命について解説します。
未開封のトナーの使用期限
未開封のトナーカートリッジの使用期限は、販売するメーカーによってアナウンスに差があります。
概ね製造から1年から2年、長くても2年半程度とされているのが一般的です。
使用期限は箱や外装などに印字・シールが貼ってある事が多く、ロットナンバーのみ記載されている商品に関しては、メーカーHP等で製造日を確認出来る事が一般的です。
使用期限が過ぎたトナーは、プリンター本体の故障に繋がる事もあり、基本的にはオススメしません。
環境が良い場所で適切に保管されていていて、1年程度の超過なら使用前にしっかり振って中身を攪拌してから、自己責任で慎重にお試しください。
問題無く使えたらラッキーですが、異常を感じたら直ぐに新しいトナーに交換してください。感光体ドラム等の内部に損傷を及ぶ可能性があります。
主なメーカーの表記例と有効期限(開封前)
メーカーによって若干推奨されるトナーの期限は異なり、製品ごとにも変わります。
一例と併せて、メーカーごとの開封前の期限を見てみましょう。
キャノン
キャノンのトナーで推奨使用期限は、主に製造から2年半です。
表記例1
2021-06-15S9
最後にある2桁以外で、製造年月日が表記されています。
この場合の製造年月日は2021年6月15日で、推奨使用期限を照らし合わせると、2024年12月までが期限という事になります。
表記例2
もっと古いタイプでは、異なる表記になっていて、期限が記載されているケースがあります。
10 2011Z
印字してある側に有効期限の文字があります。
この場合は、2011年10月が有効期限になっています。
この表記タイプのトナーは、現在では推奨使用期限が大きく経過しているため、廃棄するしかありません。
表記例3
ロットナンバーで記載されているケースもあります。
2D15S8a
ロットナンバーから期限が解ります。
この場合は最初の1桁目が2ですから2022年、次のアルファベットはAから順に月数を表してて、Dは4つ目のアルファベットですから4月、その次の二桁が日にちを表しているので15日なります。
2022年4月15日製造ですから、2024年10月が推奨される有効期限ということになります。
エプソン
エプソンのトナーで推奨使用期限は、主に製造から2年半です。
表記例1
箱の側面にあるバーコードが表記されたラベル内に、数字で記述されています。
2022. 7.01 139A
この数字はシンプルに製造年月日の2022年7月1日製造を表しています。
そのため、奨励される期限は2025年1月ということになります。
表記例2
箱の側面に数字の羅列シールが貼られています。
直接箱にスタンプで印字されているケースもあり、年月日の間に.(ドット)が入っているタイプもあります。
20210501
これもシンプルに、2021年5月1日製造なので、推奨期限は2023年11月が目処になります。
表記例3
シールが貼られている事は同じでも、上記の2とは異なる表記のケースがあります。
210420-1
最初の2桁が西暦の2021年を表していて、次の2桁が月、その次の2桁が日にちになっているので、この場合では2021年4月20日製造ですから、奨励期限は2023年11月ということになります。
表記例4
バーコードが表記されたシール内に、解りやすい数字の記述での製造年月日が無いケースもありますが、よく見ると最後の6桁で解ります。
6251B50343-210615
この場合は、2021年6月15日製造ということで、奨励期限は2023年12月ということになります。
ブラザー
ブラザーのトナーで推奨使用期限は、主に製造から2年半です。
表記例1
箱の側面にラベルで6桁の数字表記があります。
220405
最初の2桁で西暦の下二桁を表すので2022年、以降は4月5日の意味です。
そのため奨励期限は、2024年10月という事になります。
富士フィルム(富士ゼロックス)
ゼロックスは富士フィルムと資本関係を解消して、現在は富士フィルムが旧ゼロックス用の消耗品も併せて供給しています。
富士ゼロックス株式会社については、歴史も含めて解説している以下も是非併せてご覧下さい。
富士フィルム(富士ゼロックス)のトナーで推奨使用期限は、主に製造から2年です。
表記例1
バーコードシールにある、バーコードの上に推奨使用期限が表記されています。
24/02
西暦の下二桁/月を表記していますので、奨励期限は2024年2月という事になります。
表記例2
製造年月日の数字表記を直接スタンプで印字したり、シールで貼られていたりするケースがあります。
20220508
22.05.08
どちらも2022年5月8日製造を表しているので、奨励期限は2024年5月になります。
リコー
リコーのトナーで推奨使用期限は、主に製造から2年半です。
表記例1
箱の側面にあるシールのMODEL表記の最後の3桁が製造年月です。
MODEL ×××× 206
この場合、2022年6月の製造を意味していますので、奨励期限は2024年12月という事になります。
表記例2
箱の側面にラベルで6桁の数字表記があります。
220405
最初の2桁で西暦の下二桁を表すので2022年、以降は4月5日の意味です。
そのため奨励期限は、2024年10月という事になります。
開封後のトナーの使用期限
開封後のトナーに、いきなり劣化が始まるという事はありません。
時間の経過と共に、湿気を帯びてくる事が問題になります。
粉末状のトナーが湿気を吸って、一部が固形化することで正常な印刷が出来なくなり、プリンター内部に入り込めば本体を故障させる可能性があります。
これを避ける為には、定期的にプリンターを使用する事が効果的です。
プリンターが起動すると、中のトナーを攪拌(かくはん)する機能が働き、混ぜ合わせることで固まらない様にしています。
そのためトナーを挿したままの状態で、プリンターを使用しない期間が続くとトラブルに繋がります。
コンスタントにオフィス環境で使用されるプリンターのトナーならば、1年から2年程度が使用期限と考えられます。それ以内で多くの現場は使い切る可能性が高く、装着してからの使用期限は、それほどナーバスに気にする必要は無いですね。
未開封のトナーの保管方法
未開封のトナーを保管する時に、注意する点が幾つかあります。
使うまで開封しない
最も大切なのは、使用するまで開封は避けてください。
トナーは光に対して敏感であるため、誤って開封した場合は、元の黒い袋に入れて保管してください。
高温多湿を避ける
保管する場所は、直射日光を避けて高温多湿になる場所は避けてください。
具体的には一般的に温度(0℃~35℃程度)湿度(30 ~ 85 %RH程度)の環境です。
外気との温度差によって、適正な湿度の元でもトナーカートリッジに水滴ができることがあります。これを結露と言います。トナーには結露が禁物で品質に大きな悪影響が出ます。
横向き保管
縦に立てて置いたり裏向きにしたりする事は避けて、プリンターにセットする状態と同じ向きに保管することで、トナーの偏りを防ぎます。
保管環境
ホコリが多い場所での保管は避けてください。
空気中に塩分が多く含まれている場所や、腐食性のガス(アンモニアなど)が発生する場所での保管も避けてください。
火気厳禁です。トナー粉末には引火性があります。
磁気を帯びた物の近辺には保管しない
トナーは磁気製品です。パソコン本体やCRTモニターやディスクとライブなどに、トナーが悪影響を与える可能性があります。カード類の近くで保管も避けた方が良いですね。
トナーカートリッジの予備があれば、急なトナー切れによる印刷出来ない状態を避けることが出来る事は確かですが、保管にはそれなりの注意が必要です。
必要以上のトナー在庫を持つことは避けて、ロスが生じない程度の適正なトナー在庫にすることが、結果的に無用なトラブルを避けます。
消耗品の寿命について、トナーだけでなくインクについても説明した以下も併せて御確認ください。