日本国憲法には、国民の三大義務が定められています。
教育の義務(26条2項)・勤労の義務(27条1項)と共に、忘れてはならないのが納税の義務(30条)です。
プリンターをリース契約すれば、リース料に消費税が掛かりますし、レンタルすればレンタル料に消費税が掛かります。
プリンターを購入すれば、購入に消費税が掛かるだけでなく、購入金額によっては資産として計上する必要があり、別途税金を支払う必要があります。
プリンターにまつわる税金について、今回は解説します。
プリンターは固定資産税
事業者が事業に使用する物品を取得購入した場合、10万円未満であれば固定資産に計上する必要はありません。購入した年度に経費として一括計上出来ます。
10万円以上20万円未満で取得購入したものは、個別の減価償却を行わず、3年間に渡り3分の1を必要経費として計上することができます。
青色申告を行っている中小企業の事業者(個人事業主を含む)は、取得購入金額が30万円未満のものを少額減価償却資産として処理が出来て、一括で全額を必要経費にして処理する事が出来ます。(年間合計300万円まで)
大型複合機コピー機の取得費用は、中古では別ですが新品では基本的に30万円以上になり、100万円以上になることも珍しくありません。
基準になる金額はプリンター単体ではなく、付属するオプション等が装着されている場合、使用している状態にかかっている費用合計全額が、取得金額になります。
リースやレンタルでプリンターを導入している場合は、取得はしていないため固定資産に計上する必要は無く、支払金額全額が経費として計上出来ます。
購入した場合は、固定資産に計上して減価償却を行い、固定資産税を支払う必要があります。
プリンターの利用年数に応じて償却資産が適応される
大型複合機コピー機は、法定耐用年数に応じて時間の経過と共に、価値の下がる償却資産です。
法定耐用年数は5年になっていて、5年間で減価償却していきます。
大型複合機コピー機の寿命は5年と考えられ、その期間は毎年資産価値が減少するという考え方です。リース契約期間が5年間前後であることが多いのは、これが元になっています。
減価償却には、定額法と定率法の2つが有ります。
どちらかを任意で選択することが出来ます。
○定額法
定額法償却率は「0.2」で、残存価格は取得価格の10%で計算します。
大型複合機コピー機を100万円で購入した場合は、
(取得金額100万円-残存価格10万円)×0.2=18万円
1年間に償却出来る金額は、18万円になります。
5年で残存価格は10万円です。
年度途中での購入初年度は、使用した月数÷12ヵ月(1年間)の数値を掛けます。
○定率法
定率法償却率は「0.5」です。
大型複合機コピー機を100万円で購入した場合は、
1年目 100万円×0.5=50万円
2年目 50万円×0.5=25万円
3年目 25万円×0.5=12万5千円
4年目 12万5千円×0.5=62,500円
5年目 62,500円×0.5=31,250円
償却出来る金額は年数によって変わり、5年で残存価格は31,250円になります。
プリンターにかかる税金はいくら?
プリンターの固定資産税を具体的に計算してみましょう。
プリンター購入時の固定資産税
固定資産税の金額は、
減価償却材の価値(=元の代金)-(毎年の目減りする価値×経過した年)
をベースに算出し、価値の減少と共に支払税額は減っていきます。
法定耐用年数に到達する5年間は、固定資産税を払い続ける必要が有ります。
5年経過以降も、不具合が無ければ利用を継続する事も当然出来ますが、事業で使用している限り帳簿には載せておく必要が有ります。
事業で使用する事を止めて、廃棄や処分する時に除去(帳簿から消す事)仕分けを行います。
大型複合機コピー機を含む、償却資産の固定資産税率は1.4%です。
毎年1月1日に所有している事業用の試算評価額に、0.014を掛けた金額が課税額になります。
耐用年素5年の大型複合機コピー機の減価率は、初年度が0.185・2年目以降は0.369と決まっています。
実際の価値(原価残存率)は、(1-減価率)として計算します。
100万円で取得した大型複合機コピー機の固定資産税を計算してみましょう。
○1年目
原価残存金額=100万円×(1-0.185)=815,000円
815,000円×0.014(税率)=11,410円
実際に支払う税額は100円未満が切り捨てのため、11,400円です。
○2年目
原価残存金額=815,000円×(1-0.369)=514,265円
514,265円×0.014(税率)=7,199円
実際に支払う税額は100円未満が切り捨てのため、7,100円です。
○3年目
原価残存金額=514,265円×(1-0.369)=324,501円
324,501円×0.014(税率)=4,543円
実際に支払う税額は100円未満が切り捨てのため、4,500円です。
○4年目
原価残存金額=324,501円×(1-0.369)=204,760円
204,760円×0.014(税率)=2,866円
際に支払う税額は100円未満が切り捨てのため、2,800円です。
○5年目
原価残存金額=204,760円×(1-0.369)=129,203円
129,203円×0.014(税率)=1,808円
実際に支払う税額は100円未満が切り捨てのため、1,800円です。
100万円で収得したプリンターの固定資産税は、5年間で27,600円を支払います。
リースの場合の税金を考える
ここまで書いてきた内容は、基本的にプリンターを購入した場合です。
大型複合機コピー機では、リース契約で導入するケースが非常に多くなっています。
リースした場合の税金について、考えてみましょう。
〇固定資産税
購入した場合と、殆ど変わらない利用形態が可能なのにも関わらず、多大に掛かる初期費用が掛からない事が、リース契約の大きなメリットの一つです。
もう一つのメリットとして、リース契約では機器の所有権はリース会社に有るため、リース契約した側には計上すべき資産にはなりません。
そのため固定資産税はリース会社が負担する事になり、リースで機器を利用する側には、固定資産に帳簿で計上する事も、固定資産税の納付手続をする必要もありません。
ただし、IFRS(国際財務報告基準)を会計処理で適用している企業は、少額リース・短期リースを除いたリースに関して、資産計上が必要になるケースがあります。
また、譲渡条件付き等などの、所有権移転リース契約担っている場合、売買扱いになって資産計上が必要になります。
リース固定資産税詳細については、税理士が最寄りの税務署で御確認ください。
〇減価償却と経費算入
企業が最終的に支払う税金は大雑把に言えば、利益から経費を引いた金額に税率を掛けて算出されます。
そのため、経費に算入できる金額が多くなれば、節税に繋がります。
前述の100万円が取得金額のプリンターの場合、定額法では年間18万円を減価償却する事が出来て、経費として計上することが出来ます。
同様の金額を5年リース(リース料率2.0%)で計算した場合、月額リース料は20,000円になり、年間では24万円になります。
この金額は全額、経費として算入する事が出来ます。
リースにした方が、経費算入出来る金額が多くなり、節税に繋がります。
その分、購入した金額よりも、リース会社に支払う金額は多くなり、総支払額120万円は購入と比較して、20万円ほど余分な費用が発生しているとも言えます。
この20万円の中には、前述の固定資産税の他、リース会社の金利経費や手数料が含まれています。
リース契約は、収益を上げている企業にとっては節税効果が有りますが、利益が出ていない企業やスタートアップ企業にとっては、初期費用が掛からないメリットは有っても、節税効果は無いと言えます。
レンタルの場合の税金を考える
プリンターの導入手段として、メインになっているのは永らく購入かリースでした。
レンタルと言うと、短期間だけの戦力補充としてのみ考えている方も多いですが、経費節減に敏感な企業から、購入やリースに変わるメインプリンターの導入方法として、レンタルプリンターサービスの利用が増加しています。
特に、「プリント革命」のレンタルプリンターサービスは、リース同様に初期費用が掛からないだけでなく、インクやトナーの消耗品代も掛からず、リース契約では印刷枚数に応じて掛かるカウンター料金もありません。
「プリント革命」のレンタルプリンターサービスにスイッチして、印刷経費の大幅削減に成功する起用が増えています。
レンタルプリンターサービスの場合、固定資産には当然計上する必要が無く、毎月のレンタル料金は全額必要経費として計上出来ます。
消費税は?
プリンターに掛かる税金としては、消費税もあります。
〇プリンターを購入の場合の消費税
購入時の消費税率が適用され、支払う必要が有ります。
〇プリンターをリースの場合の消費税
リース契約では、リース料に掛かる消費前は、納品が完了して検収確認が済んだ時点の消費税が適用確定されます。
仮に今後、消費増税が行われた場合でも、確定した税率に変更は無く、増税後も毎月の税込リース料は変わりません。
逆に、現状を考えると可能性は極めて低いですが、消費減税が行われた場合でも、確定した税率に変更は無く、減税後も同じリース料の支払いが発生します。
通常の契約では、契約時の税率が適用されることが一般的ですが、リース契約の場合、実際に機器が納入された日がリース契約の開始日となり、その時点での消費税率が適用されます。
リース料とは別途に支払う、カウンター料金保守サービス契約に伴うカウンター料金は、支払う時点での消費税が都度適用されます。
契約期間中に増税や減税が有った場合、その税率の消費税が加算されます。
〇プリンターをレンタルの場合の消費税
レンタルプリンターサービスを利用した場合、利用月の消費税が適用されます。
国の税額控除政策にプリンターは対象?
国(中小企業庁)は、中小企業をサポートする制度や政策を展開していて、その中の一つに「中小企業経営強化税制」があります。プリンターも対象になっています。
詳細については、「コピー機、複合機の助成金。中小企業経営強化税制(経営力向上計画)」もご覧下さい。