プリンターは家庭用の小型インクジェットプリンターから、オフィスで利用する大型複合機コピー機まで様々にありますが、共通して言えるのは見かけや利用の仕方よりもずっと、精密機械であるということです。
技術の粋を集めた機器であるプリンターは、利用していく中で起こるトラブルは避ける事が出来ず、例外無く訪れる事態と言っても過言ではありません。
そんなプリンタートラブル「あるある」で、紙詰まりエラーがあります。
一般的には詰まった紙を取り出すことで、何事も無かったように正常に印刷を再開出来ますが、詰まった紙を取り除いても、紙詰まりエラーの表示が消えなくて印刷が再開出来ず、イライラした経験・・・ありませんか?
プリンター利用者の多くが一度は経験する理不尽、プリンターに紙が詰まっていないのに、紙詰まりエラーが出て消えない!トラブルの、原因と対処法を解説します。
プリンターが紙詰まりを起こす原因
プリンターが紙詰まりを起こすのは、主に以下の6つの原因が考えられます。
1.プリンター内に用紙が2枚以上入り込んでいる
プリンターは1枚ずつ印刷するよう作られているので、2枚以上の紙がプリンター内に入ってしまうと紙詰まりを起こします。
給紙トレイに印刷用紙をセットしますが、ここに入れる紙の枚数が多すぎたり少なすぎたりすると、紙が静電気でくっついたりして2枚以上同時にプリンター内に取り込まれてしまうのです。
プリンターによってはトレイに置く紙の上限が決められています。ぴったりの枚数でセットすると紙詰まりを起こす場合があるので、5枚ほど少ない枚数でセットしてみてください。
2.印刷設定をしたサイズと違うサイズの用紙をセットしている
パソコンやスマホで設定した用紙サイズと、実際に給紙トレイへ入れた紙のサイズが違うことも紙詰まりを起こす原因の一つです。B5で設定したなら用紙もB5をセットする必要があります。
ありがちなのが、前回印刷したときの印刷設定のまま印刷をスタートさせてしまうミスです。たとえば、前回B5で設定したのを忘れて、A4に設定済だと思ってA4用紙をセットして印刷すると、設定と給紙トレイのサイズが違うので紙詰まりを起こすときがあります。
印刷するときは都度、印刷設定と給紙トレイにある用紙のサイズをチェックしてください。
3.節約のために裏紙を使っている
試し印刷をするときは特に白い用紙を使うのがもったいないので、節約のために裏紙を使用する方は少なくないはずです。
しかし、裏紙はすでに文字や写真などが印刷されているので、インクによって静電気が起きたりゴミがついたりして、紙詰まりを起こしやすくなります。紙詰まりだけでなくノズルの詰まりの原因にもなるので、できれば裏紙は使わないほうが良いでしょう。
節約のために裏紙を使うのをやめられない場合は、紙をさばいて静電気が起きにくい状態にし、ゴミがついていないかよく確認してから使用してください。
4.プリンター内にゴミや紙片が残っている
プリンターは印刷の際にゴミやホコリを巻き込んでしまうときがあります。また、印刷時に用紙の一部が破れてしまうと、プリンター内に紙片が残ってしまう場合もあるのです。
プリンター内に異物が残ったままだと、スムーズに印刷できず紙詰まりを起こします。この場合、プリンター内に残った異物を全て取り除かない限り、紙詰まりのトラブルは解消されません。
5.印刷用紙が湿気を含んでいる
印刷用紙が湿気を含んでヨレていると、まっすぐに給紙されないので紙詰まりを起こします。ヨレていなくても、湿気を吸った紙は乾いた紙よりふくらんでいるので紙詰まりの原因に。
梅雨の時期はとくに、紙が湿気を含んでいないか印刷前に確認しましょう。給紙トレイに紙を置きっぱなしにするのは避け、封を開けた用紙は密封して湿気が入らないよう対処が必要です。
6.給紙ローラーの摩擦力が低下している
印刷用紙がプリンター内に送られるのは「給紙ローラー」が回転するからです。このローラーの摩擦力が低下していると、紙が上手く送られず紙詰まりを起こします。給紙ローラーの摩擦力が低下する原因は、ローラーの劣化もしくは汚れの蓄積です。
プリンターの紙詰まりが起こったときの対処法
プリンターが紙詰まりを起こしたときは、用紙が途中で止まっていればまずそれを取り除きます。このとき、挟まった紙が破れてプリンター内に残らないよう、慎重に取り除くようにしてください。
詰まった紙を取り除いたら、
- 給紙トレイに用紙が正しくセットされているか
- セットされた用紙の量は適切か
- 設定とセットした紙のサイズは合っているか
この3点を確認してから再度印刷してみましょう。
給紙トレイに置かれた紙はまっすぐセットされているか、用紙の量が多すぎることはないか、設定とセットした紙が同じかを確認すれば、多くの場合は紙詰まりを起こすことなく印刷できるはずです。
紙詰まりが起こったときの対処手順まとめ
- 給紙カセットや側面を取り外し、詰まった紙がないか確認する。
- 紙が詰まっていたら、破れないよう慎重に取り除く。
- 紙を正しくセットし、セットした紙の量を確認してから再度印刷する。
プリンターが紙詰まりを起こしたときにチェックすべき箇所
プリンターが紙詰まりを起こしたときにチェックすべき箇所は、
- 給紙トレイ
- 給紙トレイに置かれた紙
- 給紙ローラー
- 給紙カセット
この4点です。
先程説明した対処法でも紙詰まりが解消されないときは、再度上記4点も異常がないかチェックしてください。
給紙ローラーはゴミが詰まっていないかを確認し、ゴミがついていればアルコールをつけた布で拭き取りましょう。ひび割れて劣化をしているときは新しいものに取り替える必要があります。
「プリンターや複合機で紙詰まりの原因と対策、予防策を紹介」も、是非併せてご覧下さい。
それでもプリンターの紙詰まりエラーが消えない場合の対処法
詰まった紙は取り除いたのにも拘わらず、何故か紙詰まりエラーが消えない場合の、具体的な対処法と確認するポイントを解説します。
再起動
紙詰まりのエラーを起こしたことで、実際には問題が無いのに正常に稼働していないケースがあります。
そんな場合にまず行うのは、プリンターに限らずIT機器全般に言えますが、再起動です。
プリンターの電源を完全に落とし、ゆっくりと10数えてから再び電源を入れて起動させます。
再起動によってエラーが消えて、正常に稼働を取り戻すケースは数多くあります。
開けた本体パーツは全て完全に閉まっているか?
詰まった紙を取り出すのに、プリンターの一部のカバーパーツを開いていますよね?
それらが全て完全に元の状態に閉まっているのか、確認してください。
自分では閉めたつもりでも、完全にパチンとパーツ同士がハマっていない場合、紙詰まりエラーの表示が消えない原因になっているケースがあります。
取り出すのに開けたパーツだけでなく、作業中にうっかり力が掛かっていて、それ以外の部分が問題になることもあります。
ADF(自動原稿送り装置)や給紙トレイのカバーなど、再度きちんと閉め直して改善する事も意外と多いです。
用紙の入れすぎ
給紙トレイに入っている用紙は、わざわざ数える事は無く、目分量で補給しているケースが多いですが、上限を超える枚数が入っていると、プリンター側では紙詰まりと判断するケースが有ります。
自分では行っていなくても、前の利用者が親切で行っていた行為が、トラブルの原因になっている場合もあります。
用紙を取り出すことで、エラー表示も消える事が少なく有りません。
トレイ内のガイドと用紙が不一致
これも前に使った人が原因を作っていますが、通常多く利用されているA4サイズ以外の用紙が利用されている中で、それ以外のサイズを使った場合に、用紙トレイのガイドと実際に入っている用紙が合っていないケースがあります。
紙詰まりのエラーを誘発するだけでなく、表示トラブルの原因になっている事もあります。
異物混入
詰まった用紙を取り出すときに、スムーズに引き出せれば御の字ですが、力を掛けて引き出さないと出てこない事、ありますよね?
慎重に行う事が大事ですが、どうしても詰まった用紙回収時に、一部が破けてプリンター内部に残ってしまう事があります。
また、裏紙などを利用している場合、ポストイット系のシールが付いたままだったり、クリップが挟まっていたりする場合、プリンターの内部に落ちてしまう事が有り、ADFを利用したコピーでも発生します。
これら通常プリンター内部に存在してはいけない異物が、プリンター内部に混入した場合、紙詰まりエラーが消えない事があります。
この場合、プリンター内部をしっかり家捜しする必要があります。
プリンターを開けて探索する場合の注意点
レーザー方式のプリンターの場合(オフィスの大型複合機コピー機も大半はレーザー方式のプリンターです)、内部が高熱になっているので、電源を抜いて時間を置いてから作業を行って下さい。
イライラする気持ちも解りますが、極力内部パーツには触れない様にしてください。
微妙な調節で成り立っているパーツも多く、乱雑に扱う事でプリンターが正常に機能しなくなる原因になります。
指先だけで無理に取ろうとせずに、ピンセットなどを使って慎重に取り除いて下さい。
フロントカバーを開けるだけでなく、サイドカバー等も開けて色々な角度から探索して下さい。
ADFのローラーの隙間や、用紙トレイの中や下、トナーカートリッジを抜いたスペースや、インクカートリッジも抜いてみてください。
エンコーダーフィルムの汚れ
インクジェットプリンターの場合、内部にある薄く透明なフィルム上のパーツ(エンコーダフィルム)が汚れている事で、紙詰まりエラーの表示に繋がっているケースがあります。
説明書を参照した上で、中性洗剤を綿棒などに付けて作業を行って下さい。
このパーツが本来あるべき位置からズレた場合、正常な印刷が出来なくなるため、慎重に清掃してください。
センサーの異常
プリンター内部にある、紙を検知するセンサーに問題が有る場合、紙を取り除いてもエラー表示が継続します。
説明書に従って、センサーを垂直にすることで改善する事があります。
サポートへ連絡
最後の2つの手段は、自信の無い方は触らない方が無難です。
紙を取り除いても紙詰まりエラーの表示が続く場合、上記の作業を行っても改善しなければ、サポートへの連絡をしてください。
保守契約を行っている大型複合機コピー機では、保守サポートをする会社へ、一般的にはメーカーのサポートへ連絡します。
プリンターは定期的な清掃をすることで紙詰まりの頻度は下げられる?
プリンターは定期的に清掃をすると紙詰まりの頻度を下げられます。紙詰まりを防ぐためにやっておきたい清掃と方法をまとめましたので、快適に利用するためにもぜひ今後に取り入れてください。
原稿送り装置ローラーの清掃方法
- 原稿送り装置のカバーを開く。
- 水で濡らし、硬く絞った布を用意する。
- 布をローラーに当て、ローラーを回しながら拭く。
- 汚れが落ちきらない場合、布に中性洗剤を少し含ませて再度拭く。
給紙ローラーの清掃方法
- プリンターの電源を切り、コンセントを抜く。
- プリンターについているケーブルやプラグを全て取る。
- 手差しトレイを開くか、トレイ内にある紙を取り出す。
- 水で濡らし、硬く絞った布を用意する。
- ローラーを回転させながら布で汚れを拭き取る。
- 汚れが落ちきらない場合、布に中性洗剤かアルコールを少し含ませて再度拭く。
クリーニングシートを使う
クリーニングシートとは、専用のシートをトレイにセットし、排紙させることでプリンター内部の紙粉を掃除できるもののことです。紙の粉も紙詰まりの原因になり、自分で掃除するのは難しいのでクリーニングシートを使うのをおすすめします。
クリーニングシートは家電量販店やネット通販などで購入できますから、ぜひこの機会に何枚か購入してみてはいかがでしょうか。
プリンターの給紙ローラー清掃については、「紙詰まりや印刷がずれるときは給紙ローラーの清掃をしよう!」「プリンター給紙ローラーのクリーニングとは?」も、併せてご覧下さい。
まとめ
紙詰まりはプリンターのトラブルの中ではとても多く、適切な対処をしないと頻繁に起こってしまいます。印刷用紙がムダになるだけでなく、起こるたびにプリンターに負担を与えてしまうので注意してください。
正しい対処をして定期的にメンテナンスも行い、できるだけ紙詰まりを起こさないようにしましょう。