パソコンから印刷するのに使うプリンターは、一般的に使われている物で大きく2つのタイプがあります。インクジェットプリンターとレーザープリンターです。
それぞれの方式に、印刷機能のみに特化したプリンターとFAX・コピー機能などを備えた複合機があります。
プリントアウトされた結果に大差が無くても、それぞれ得手不得手があるのは確かです。
今回は、インクジェットプリンターを軸に検証します。
インクジェットプリンターとは?
インクジェットプリンターは、インクを直接印刷対象に吹き付けて印刷します。
何十色のカラーインクを使える機種もあり、相対的に色の再現性が高く色彩豊かです。写真の印刷に向いていて、家庭用のプリンターで多く使われています。
インクジェットプリンターの印刷工程を簡単に説明します。
産業用のインクジェットプリンターを除き、通常は色を付けたり印字するのに必要な量のインクを噴出させる「オンデマンド」という印刷方式が大半です。
プリントヘッドにインクが充填されます。
そのインクを放出させるために圧力をかけますが、その方法はメーカーにより大きく2つに分かれます。
- 「ピエゾ方式」は、電圧が加わることで体積が変化するピエゾ素子を使って噴出させます。
- 「サーマル方式」はヒーターで加熱して気泡を発生させることで噴出させます。
プリントヘッドには複数のインクノズルが作られていて、印刷される媒体をプリンターが縦方向への動かすのに連動して、左右に動いてインクを塗布します。
インクジェットプリンターは、上記の様な工程で行われます。
構造がシンプルなだけに、プリントヘッドの制御技術や画像処理など高い技術が必要になります。
インクジェット、レーザーとの違いとは?
簡単に二つの種類のプリンターを比較できるように表で解説します。
インクジェットプリンター | レーザープリンター |
家庭用に最適 | ビジネス用途に最適 |
写真の鮮やかさならインクジェットプリンターです。 同じ原稿を大量にかつスピーディーに印刷するならレーザープリンター。 |
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同一原稿を大量に印刷する用途に適していない | 同一原稿を大量に印刷する用途に適している |
一枚だけプリントアウトするなら、ウォームアップの必要の無いインクジェットプリンターの方が早い場合が多いです。 | |
フチ無し印刷が出来ます | フチ無し印刷は出来ません |
導入コストも交換部品(消耗品)も安価 | 導入コストも交換部品(消耗品)も高価 |
インクジェットプリンターは消耗品が安いですが、交換頻度は高くなります。 レーザープリンターは消耗品が高額ですが、交換頻度が低く手間が掛かりません。 |
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印刷する対象が幅広い | 印刷できる用途が紙に限られる |
インクジェットプリンターは、紙では無い光学ディスク等にも印刷できます。 レーザープリンターは再生紙を使っても滲みにくいです。 |
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構造が単純 | 構造が複雑 |
軽量コンパクト | 大きく重くなりがち |
消耗品はインク | 消耗品はトナーと感光体 |
インクジェットプリンターのメリット、デメリットとは?
印刷する仕組みが全く異なるインクジェットプリンターとレーザープリンターですが、お互いの弱点を克服すべく技術の進歩を遂げて、その差が少なくなっています。
それでも、向き不向きはあります。
インクジェットプリンターのメリットとデメリットを考えてみます。
インクジェットプリンターのメリット
ウォームアップが不要
インクジェットプリンターは直ぐに印刷にかかれますが、レーザープリンターではウォームアップの時間の時間が必要です。一枚だけ即座に出すならインクジェットプリンターにメリットがあります。
大量に印刷するならレーザープリンターですが、違う内容の印刷を1枚や数枚出すだけという使い方が多いなら、インクジェットプリンターの方が使い勝手が優れています。
写真印刷
ハッキリとした文字はレーザープリンターに分がありますが、繊細なトーン表現(たとえば人物の顔等)は、染料を原料として使用するインクジェットプリンターの方が、圧倒的に表現力が上で、解像度が高くう再現性も高い事から、美しい写真印刷をする事が可能です。
フチ無し印刷が可能
年賀状やカタログ等の全面印刷が必要な場合はインクジェットプリンターです。
写真印刷も綺麗なだけで無く、フチが無い事で用紙一杯に迫力有る表現が可能です。
レーザープリンターでは、その構造上フチがどうしても出来ます。
消耗品の価格が安い
導入コストも、消耗品コストもインクジェットプリンターは安価です。
純正品のインクを利用すれば、インクを数回新しい物に交換すれば、インク代が本体価格を超えてしまう事も、さほど時間が掛からないくらい安価に導入出来ます。
インクジェットプリンターのビジネスモデルが、本体は安く販売して、消耗品のインクで末永く回収するスタイルになっていることから、そんな事態は起きますが、サードパーティーの互換品を利用する事で、消耗品のインク代を安価に抑える事も可能です。
消費電力が少ない
レーザープリンターは電気を熱に変換して印刷する構造であり、トナーを回転させるなど可動部が大きく、大きな電気を消費します。インクジェットプリンタープリンターは定着工程が無い為、印刷物は熱を持たず、可動部分も比較的限られている事から、消費電力は少なくなります。
レーザープリンターを一般家庭で稼働させると、ブレーカーが落ちる場合も有ります。
紙以外にも印刷可能
印刷媒体が平坦である必要は無く、紙以外にも印刷が可能な機種もあります。
プリンターが飲み込むことが出来れば、比較的自由に印刷出来ることから、CDやブルーレイディスクなどのデジタルディスクに、直接印刷することが出来る機種があります。
サイズがコンパクト
プリンターの筐体サイズが、レーザープリンターと比較して小さくなります。
特にA3サイズが使える物では、レーザープリンターの場合は巨大になって、一般家庭に導入する事はサイズ感と重量に無理が出ますが、インクジェットプリンターなら重量も軽く、棚に置けるくらいの質量で収まります。
インクジェットプリンターのデメリット
印刷速度が遅い
インクジェットも昨今早くなってはいますが、トータルではレーザープリンターの方が早く、特に大量印刷ならレーザープリンターです。
特に連続印刷する場合には、時間的に大きな差になります。
インクが乾く時間が掛かることがある
インクジェットプリンターに適した印刷用紙でないと、滲みやすい事もあります。
染料インクを利用したインクジェットプリンターは、紙に染みこませる構造になっていて、一定の乾燥時間が必要です。
本来有ったインクジェットプリンターのデメリットを解消したのは、顔料インクを使うビジネスインクジェットプリンターです。紙の上にインクを乗せる構造になっているので、レーザープリンターに近く、乾燥時間も殆ど気にしないで利用する事が出来ます。
滲みやすい
染料インクを原料としたインクジェットプリンターは、特に文字が滲みやすく、ぼんやりしたイメージの書類になります。水に弱い特性が有るので、印刷した書類にマーカーを利用すると文字が崩れて読みづらくなります。
顔料インクを利用したビジネスインクジェットプリンターでは、大幅に解消されて読みやすく滲みやすい文字を実現しています。
長期保存に向かない
インクジェットプリンターも改良を重ねていて、最近の機種は大幅に改善されていますが、劣化無く長期保存したい書類等では、レーザープリンターか顔料インクを使うビジネスインクジェットプリンターの利用が向いています。
メンテナンスが必要
未使用期間が長くなると、インク詰まりが発生する事があります。これはインクジェットプリンターの宿命とも言える物で、利用しない時でもコンセントを挿しておくことで、時間の経過をプリンター自身が自動的に判断して、クリーニング作業を行います。
自動クリーニングは人間の手間は掛かりませんが、行う度にインクを消耗して廃インク吸収体に送る事を繰り返します。そのため、印刷していないのにも関わらず、インクを消耗し続ける事も、ユーザーにとっては大きなデメリットと言えます。
廃インク吸収体交換が一杯になると、プリンターは利用することが出来なくなります。
ユーザーが交換を行える機種では、低コストで利用継続が出来ますが、メーカーサービスに修理扱いで出さなくてはならない機種も多く、修理期間は手元に使えるプリンターが無くなる事に加えて、修理費用が購入費用を超えることも多く、事実上の寿命として買い換えするユーザーが多くなっています。
消耗品の交換頻度は高くなる
インクジェットプリンターで継続的に大量に印刷すると、ランニングコストは大きくなる可能性があります。一回の消耗品交換につき掛かる費用はレーザープリンターと比較すれば小さいものの、大量印刷すれば決して消耗品は長持ちしません。
従来のカートリッジ式と比較して、容量の大きなタンク方式のインクジェットプリンターも登場していますが、大量に印刷出来るため交換頻度は低くなっても、購入コストはその分だけ高額になります。
出力枚数が多くなる場合は、費用も手間もレーザープリンターにメリットが出てくる事が多いです。
また、再生インクなどサードパーティー製の消耗品を使用することで、大幅にコストが削減できます。純正のメーカー品では用意していない大容量タイプや、割安で購入出来るセットが用意されているケースも有ります。
大量印刷をインクジェットプリンターで行うなら、メンテナンスや消耗品の購入や手配について不安が無くなる、月額固定料金のレンタルプリンターサービス導入をお勧めします。
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初期費用やインク代の他、送料や保守代金も込みの価格です。