ペーパーレス化は、業務効率を上げるために行うものです。
単純に紙を電子化するだけでは、意味がありません。
働き方改革・テレワークにも適したペーパーレス化を成功させるためには、後々にデータが運用しやすく活用しやすい環境の構築を、最初から行う事が重要です。
失敗しないペーパーレス化の進め方、実行編を解説します。
段階的なステップを作成する
ペーパーレス化の導入に、全社のシステムを一気に変更する方法は、望ましくありません。
業務効率を向上させる目的で、業務に支障が出てしまえば本末転倒です。
準備段階で把握した、ペーパーレス化が可能な箇所・向いている箇所から、優先順位を付けて、導入を具体的に進めていきましょう。
あくまで少数の試験的な実行から始めて、具体的な工程や手順を確認しながら、トラブルやミス・改善点を出し、ノウハウにしていくことが重要です。
準備段階でピックアップした、ペーパーレス化に向いている業務でも、実際に行うには試行錯誤も必要になってきます。
業務の特性を考えた上で、どのようにペーパーレス化するのか?具体的に検討します。
単純に紙の書類を電子化するだけではなく、そのデータが後に使いやすい状態になっている事が、ペーパーレス化成功の鍵を握ります。
実際に使う可能性のある現場の人間が、実際に使ってみる事で問題点も出てきます。
最適なツール・サービスを探して、この時点で比較検討する事も有効です。
検証を重ねていっても、実際に業務に使用する中で問題が出ることがあります。
小規模で一ヶ月程度の期間ペーパーレス化を行い、正しくルールが守られて電子化されているか?ファイルの仕分け収納場所に問題は無いか?等をしっかり検証します。
問題があるようなら改善を行い、ノウハウとして蓄積します。
小規模で問題無くペーパーレス化が進む事に確信が持てたら、他の業務にも導入をしていきます。これも一気にでは無く、徐々に優先順位に則って拡大させてください。
スマホ・タブレットから開始する
ペーパーレス化に避けて通れないのが、社員全体のITリテラシー向上です。
普段パソコンを使っていない方に、パソコン操作で仕事を強要しても、効率が上がらず抵抗する方も多くなります。
これは、ベテランだけの話ではありません。
若年層も、スマートフォンは普段から扱っていますが、パソコンの必要性を感じていない方も多くなっています。
キーボードを操作するよりも、フリック入力の方が合理的で早いと考える層が、少なからず居ます。
ペーパーレス化によるデータ書類の閲覧・編集を行う機器として、タブレット端末の導入を進める企業が増加しています。
パソコンと比較して機器の容積が小さいことから、大量に導入しても邪魔になりません。
何処にでも持って行ける携帯性の良さがあり、データ通信SIMを挿入して使えるタイプの機器なら、社外に持ち出して社内データにアクセスが可能になり、活躍する範囲も増えます。
老眼で小さな文字が苦手な層にも、簡単に拡大縮小が出来る機能は、ある意味パソコンで使用するよりも合理的です。ペン入力が可能な機器なら、後からアンダーラインを引く事や、思いついたこと、注意点を書き込む事も可能で、紙と同様の感覚で使うことが出来ます。
最近のスマートフォンの性能向上もめざましく、画面解像度が上がったのに加えて画面サイズも大型化しています。機種によってはタブレット端末の代わりにも充分なります。
パソコンと比較すれば、普段から使っている人が多いスマホ・タブレットの導入は抵抗感が薄く、ユーザーフレンドリーな機器です。
ツールを利用する
ペーパーレス化の実現は、紙の書類を電子化する事が最終的な目的ではありません。
電子化したデータを効率よく使う事が出来て、業務効率改善を成し遂げてこそ、始めて成功と言えます。
そのためには、書類の種類や部署によって、適切なツールを使うことが合理的です。
ペーパーレスFAX
もっとも導入が簡単なペーパーレス化です。
紙にFAXを出力せずに、受信した内容はデータ化され保存されます。
紙代・印刷代が経費として削減出来るだけでなく、後からデータを探すのも容易になり、目に見えてペーパーレス化による業務効率改善が実感出来ます。
オンライン会議システム
FAXの次に導入が容易です。
特に紙の資料が多い会議で、紙の資料を大幅に削減出来ます。
テレワークだけで無く、社内でもフレキシブルなミーディングに活用出来ます。
会議当日に配っていた紙の資料を、事前にペーパーレスで配布する事により、会議がより充実したものになり、時間も短縮されます。
プロジェクターを使用していた資料の表示も、手元のタブレットで出来る為、大幅に見やすくなります。ページめくり等をプレゼンターの意図で、参加者全員を連動させる事も可能です。
オンラインストレージ
業務に必要なファイルデータを、クラウド上に保存するのがオンラインストレージです。
社内外からアクセスが可能になり、仕事をする時間や場所を選びません。
有料・無料のサービスが有りますが、最小限度の無料で使い勝手を確認した上で判断出来ます。
社内サーバーに保管するのと比較すれば、アクセス権限の設定やデータ容量の管理が容易に出来て、セキュリティ対策を含め管理が楽になります。
検索速度も早いため効率的です。
定型業務のマニュアル・進捗管理
マニュアル・作業記録・進捗管理表等を、クラウド上にまとめて管理が出来ます。
報告書や請求書等の添付も可能で、メンバー全員で共有出来るため、効率的です。
ミスやチェックリストでトラブルを減らし、管理者の負担も軽減されます。
契約書の電子署名・保管
合意済み契約書に電子署名を行い、書類の保管・管理がクラウド上で完結します。
請求書の作成・管理
請求書そのもののペーパーレス化だけでなく、請求管理全部をクラウド化出来ます。
請求書の発送先がペーパーレス化していなくても、郵送手配もクラウド上で行えます。
まとめ
後で利用しやすい環境を常に考えながら、出来るところから無理なく導入していく事が、ペーパーレス化の成功に繋がります。