あまりにもオフィスの日常に溶け込んで、当たり前の様に使っている事から忘れがちですが、プリンター・コピー機・複合機は精密機械です。
精密機械は急激な温度変化や水分に弱く、一般的に大型複合機コピー機を稼働させるのに適正な環境は、温度10~32℃・湿度15~80%が推奨されています。
夏場を迎えると、なんだか大型複合機コピー機の調子が悪いと感じた経験は有りませんか?
その原因には、温度と湿度が関係している可能性が有ります。
夏のプリンター・コピー機・複合機のトラブルについて、注意点と共に解説します。
夏場に起きやすいプリンターのトラブル
大型複合機コピー機は、数多くの部品を緻密に管理して物理的に動かす精密機械です。
適正な環境は温度10~32℃と紹介しましたが、印刷品質が最も良くなるのは20~30℃程度が良いとされています。湿度も同様で、人間が快適な環境が機器にとっても快適な環境です。
精密機器が最も忌み嫌うのは、水分です。
梅雨時から夏場に大型複合機コピー機が不調になる最も大きな原因は、湿度から来る機器内部の結露です。
夏場に起こる主な不調を挙げてみましょう。
用紙詰まり
白紙の紙がついて出てきたり、機械の中に詰まってエラーが頻発したりすると、イライラしますよね。
用紙トレーに入っているコピー用紙を、あらためて確認してください。紙が波打っていませんか?
コピー用紙に限らず、紙は一般的に湿度を取り込んで吸収しやすい特性を持っています。
水分を含んだ用紙は、強度が弱って張りコシが無くなり、紙詰まりや余分な白紙プリントアウトを誘発します。
コピーがぼやける・部分的にコピーされない・擦れている
コピーをしても、適正な結果が得られない場合は、原稿を読み込むミラーやガラスが結露している可能性が有ります。
その場合は、内部部品にも結露が有る可能性があり、不具合を生じさせます。
特にコロナ禍の昨今では、定期的な換気が奨励されています。
夏場の外気は温かく、エアコンの効いた室内の空気との温度差で、結露が生じやすくなります。
大型複合機コピー機では、巨大なガラス面があり、コロナ禍の換気による結露で、文字が読みにくくなるようなトラブルが発生します。
印字が薄く感じる
トナーの量を確認しても充分な残量があるのに、何故か印刷したもののトーンが薄い感じがする場合は、トナーが水分を含んで正常に機能していない可能性が有ります。
始業間もなく電源を入れると、ファーストプリントに時間が掛かる
大型複合機コピー機は、ウォームアップ機能という内部環境を整える仕組みが有るため、朝一番でスタンバイ状態からの最初の一枚は、有る程度時間が掛かります。
いつもより時間が掛かっているのは、機器内部の結露に対応している可能性が有ります。
外装の日焼け
せっかくの白い外装も、夏の強い日差しを直接受けることで、日焼け変色が発生します。
これは、プリンター・コピー機だけでなく、原則的に室内で使用するOA機器全般に言える事です、
一旦日焼けして黄ばんでしまったら、拭いても取れませんし、修復は困難になります。
夏の直射日光で高温になると、内部の温度センサーの誤反応や、消耗品の劣化に繋がる事もあります。
トラブルを起こさないためのプリンターの対策(エアコンなどで室温を調整する 、日当たりが良すぎる場所に置かない)
夏場のプリンタートラブルについて、対策を考えてみましょう。
結露について
結露が起こる原因は、機器の内側と外側の温度差によって起こります。
夏場のオフィスで、機器にも人間にも快適な環境を維持するためには、エアコンによる空調が必須です。
印刷結果に問題が有る場合は、室内の空調を使用し始めてから1時間程度経過後に、再度印刷行ってください。
機器内部まで気温が馴染み、機器内部でも調整することで正常な機能を取り戻します。
直射日光による高温対策
人間も精密機械も、直射日光を長時間浴び続けるのは苦痛です。
大型複合機コピー機も、夏の強い日差しは苦手です。
内部パーツに劣化を引き起こす可能性が有り、気温が高くなれば、内部に有る温度センサーに異常をきたす可能性もあります。
窓際で直射日光があたる場所に設置されている場合は、日差しを遮るブラインド・カーテン等を利用して、快適な環境を維持してください。
白い外装の大型複合機コピー機が、時間と共に黄色く変色してくるのは、日焼けが最も大きな原因です。
設置場所の間隔
作動している大型複合機コピー機は、内部が高温になるため、強制的に内部の温かくなった空気を排気して、機器外部の空気を取り込んでいます。
コピー機の周りが塞がっている場合、冬場では問題が無くても、夏には空気の取り込みや排気に問題が有ると、内部の温度が上がりすぎるため、不具合のトラブルが生じる原因になります。
電源のオンオフを繰り返しだしたら、熱暴走と呼ばれる現象が起こっている可能性が有ります。
用紙の交換やトナーの補給、紙が詰まったときに効率良く処理するためのスペース、人の導線を確保するという意味でも、大型複合機コピー機の周辺の間隔として、前後は1M程度・左右には50cm程度が欲しいです。
その間隔が確保できていれば、コピー機の吸気や排気にも差し支えが無くなります。
室内の気温調節も当然大切です。
湿度対策
もし加湿器がオフィスに設置してあるなら、大敵な湿度への対策のため、大型複合機コピー機だけでなく、OA機器全般から一定の距離をとる事をオススメします。
換気によって発生する結露は、給紙トレーの隙間などに乾燥剤を入れておく事でも、効果が有ります。
後述する用紙に良いだけで無く、大型複合機コピー機内部の湿度を下げる効果が有り、結露防止に繋がります。
大型複合機コピー機の中に、ヒーターが備わっている場合や、オプションで設定されるケースがあります。
コピー機内の温度が一定に保たれる効果があるため、乾燥剤と併用すれば効果が有ります。
利用しない時でも、電源を入れておく事でヒーターが常に機能します。
その他の対策(乾燥剤を入れておく、用紙をパラパラする)
紙以外の結露が原因のトラブルの対策は、空調を入れ、プリンターの電源が入った状態で一定の時間放置すれば、多くの事態が解決します。
紙のトラブル対策は、別途考える必要が有ります。
季節を問わずに用紙が詰まる場合は、紙を送り出すローラーが劣化していたり、紙から出る微細なゴミが付着していたりして、正常に機能していない可能性が有ります。
ローラーを交換するか清掃する事で、正常な機能を取り戻します。
夏場の湿度から来るコピー用紙の詰まりは、用紙の状態を湿度から守る事で解消出来ます。
プリンターの用紙カセットに入れる前の紙は、極力購入した状態の包装紙を装着したままにして保管する方が、湿度の影響を受けにくくなります。
使う前の用紙の束は露出させておくのではなく、キャビネットやケースに保管して、梅雨の時期から夏場の湿気が多くなる時期には、乾燥剤を入れて保管しておく事で、使う時のイライラは大きく解消されます。
今現在、用紙の詰まりに悩まされているなら、カセット内の用紙を一旦取り出してパラパラ捌くことで、密着している紙の隙間に空気を送り込む事で解消する可能性が有ります。
それでも駄目なら、新しい用紙の束の封を切って、全て入れ替えてみてください。
在庫の用紙にも保管方法に問題が有れば、結果は変わりません。
その場合は新しく用紙を購入して、用紙の保管方法を見直してください。
インクジェットプリンターの夏場トラブルは?
オフィスのプリンターはレーザー方式が多いですが、省スペース・省電力に長けているビジネスインクジェットプリンターの利用も増えていて、オフィスで利用する複合機でもインクジェットプリンターが増えています。
湿度が高い場合のインクジェットプリンターのトラブル
ビジネスインクジェットプリンターには、黒色に関しては顔料インクが使われていますが、カラーインクに関しては同様に顔料インクを使うタイプだけでなく、より繊細な表現力を求めて、染料インクを使うタイプもあります。
湿度が高い場合、特に染料インクを使うカラーでは、インクの滲みが発生しやすく、乾燥して重ねて利用するまでの時間が長くなります。
用紙に対する湿気の影響は、前述のレーザー方式と同様に、用紙が張り付いて複数が一気に出力される事の他、インクジェットプリンター特有の症状としては、横方向に縞模様が発生する事もあります。
温度が高い場合のインクジェットプリンターのトラブル
温度が高い中でのインクジェットプリンターの使用は、印刷結果が正常で無くなる他、様々な動作不良や故障、場合によっては感電や火災に繋がる事もあります。
インクジェットプリンターもレーザープリンターと同様に、人間が快適に過ごせる環境の、温度10~32℃・湿度15~80%を目安にして利用する事が大切です。
季節によっても、トラブルと対処方法が変わってきます。
「梅雨の時期のコピー機トラブルと対処法!故障・破損を防いで長く使おう」も、併せてご覧下さい。