オフィスに大型複合機コピー機を導入する手段として、最も多く選択されているのがリース契約です。
リース契約で導入すれば、初期費用がかからず、機種によっては数百万円単位の高額になる本体代も、まとまった支払でなく毎月のリース料で利用する事ができます。
リースとレンタルを混同している方もいらっしゃいますが、一口で説明するなら、レンタルが文字通り商品を借りていますが、リースの場合は借りているのは複合機そのものではなくお金です。
複合機にかかる費用のオプション等まで含めた全額に、リース会社の金利手数料等を加えた金額を、リース契約年数に応じて毎月返済していくという考え方が、リース契約の基本です。
そのため不要になれば返却できるレンタルとは異なり、リース契約の場合は完済するまでリース契約の解除はする事ができません。
リース期間は返済期間と考えれば、期間の長さに応じて毎月の負担額は当然変わって来ます。
複合機リース契約の期間は自由に選べるのか?短い場合と長い場合で、それぞれのメリットとデメリットを解説していきます。
複合機リース契約の基本の期間は5年
複合機リース契約期間は、3年から7年で締結されることが多く、その中で利用者が多い契約年数は5年です。
リース期間の根拠
複合機リース期間の元になっているのは、国税庁で定められている法定耐用年数です。
仕事で利用するために購入した機器は、一括損金として扱わず、決められた償却年数に応じて減価償却を行うようになっています。
複合機に関して法定耐用年数は5年になっています。
それならば、リース期間も5年だけで良い気がしますが、国税庁ではリース取引に対して、「リース期間がリース資産の法定耐用年数に比べ相当の差異があるもの」に対して、幅を認める見解を出しています。
リース期間がリース資産の耐用年数より短い場合
リース期間がリース資産の耐用年数の70パーセント(耐用年数が10年以上のリース資産については60パーセント)に相当する年数(1年未満の端数切捨て)を下回るもの
この記述を複合機の5年に当てはめれば、耐用年数5年×70%=3.5年になり、端数を切り捨てて3年のリース契約期間が導かれます。
リース期間がリース資産の耐用年数より長い場合
リース期間がリース資産の耐用年数の120パーセントに相当する年数(1年未満の端数切上げ)を超えるもの
この記述を複合機の5年に当てはめれば、耐用年数5年×120%=6年になります。
そのため、複合機のリース期間は最長6年になりますが、現実的に7年契約のリースは存在しています。
なぜ?最長7年のリース期間が存在するのか?
国税庁が定めたルールを厳密に適用すれば、リース期間の最長は6年になりますが、どうして存在するのか疑問に思いますが、厳密に言えばグレーゾーンです。
単純にルール違反にならないのは、複合機の耐用年数が定められたのが昭和40年であり、平成20年に行われた耐用年数の見直し時にも改定がされなかった事にあります。
今から50年以上前の複合機と現代の複合機では精度が大幅に異なり、機能の充実だけで無く耐用力も大幅に向上しているのが現実だからです。
そのため、メーカーの部品保有義務期間の7年を基準にして、リース期間を設定するリース会社が存在しています。
リース期間でリース料率は異なる
リース会社の金利手数料は、リース料率という数値で比較検討ができます。
リース料率は顧客としての過去のお付き合いや物件数、信用度によっても異なり、一定ではありませんし、その時の金利などの社会情勢によっても変化します。
一般的なリース期間とリース料率の一例は、以下の通りです。
期間 | リース料率 |
3年リース契約 | 3.1~3.3% |
4年リース契約 | 2.4~2.5% |
5年リース契約 | 2.0~2.1% |
6年リース契約 | 1.7~1.8% |
7年リース契約 | 1.5~1.6% |
リース期間が短いほどリース料率は高くなり、期間が短いほどリース料率は安くなります。
複合機本体価格にオプションや配送まで含めた総額に、リース料率を掛け合わせれば、毎月のリース料が算出できます。
たとえば、総額150万円の複合機をリース料率2.1%で5年契約した場合、毎月のリース料は31,500円になります。
3年契約にするメリットとデメリット
3年契約のメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
メリット①:短期間で機種変更が可能
3年契約にした場合は、短期間で機種変更が可能となります。新しい機能を搭載した最新機種を使い続けられて、ストレスなくコピーや印刷することができるでしょう。
メリット②:不具合が起きにくい
もう一つのメリットは、使用する年数が短い分不具合が起きにくいことです。プリンターや複合機は使う期間が長い分、不具合も起きやすくなります。3年なら比較的本体が新しいため状態もよく、修理や保守にかける手間が少なくなると予想できます。
デメリット:1回あたりのリース料が割高
リース契約年数を短くする最大のデメリットは、1回あたりのリース料が割高になることです。資金に余裕があれば問題ありませんが、そうでない場合は会社全体の負担になってしまいます。
毎月のリース料と支払総額シミュレーション
総額150万円の複合機を期間3年リース料率3.3%で契約した場合、毎月のリース料は49,500円になり、リース料の支払総額は1,782,000円で、リース会社に支払う金額は282,000円になります。
7年契約にするメリットとデメリット
7年契約にするメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット①:コストを抑えられる
契約年数を長くすれば、その分1回あたりのリース料は安く抑えられます。資金面の負担を抑えたい場合は、できるだけ長くすることが経済的な状態の安定につながるでしょう。
メリット②:スペックが高い複合機もリース契約で使える
7年契約なら、スペックが高い複合機をリースにすることも可能です。一括で買う場合や3年、5年かけて支払うのが難しい場合は、なるべく契約年数を長くすることで、大きな負担がなくハイクオリティのサービスを利用できます。
デメリット:耐用年数におさまらない可能性
7年契約のデメリットは、本体の耐用年数を過ぎてしまうことです。基本的に複合機やプリンターの耐用年数は5年が多く、それ以上になると故障する可能性が高くなります。頻繁に不具合が起きてもリース契約が残っていると、業務に支障をきたすことがあるかもしれません。
毎月のリース料と支払総額シミュレーション
総額150万円の複合機を期間7年リース料率1.6%で契約した場合、毎月のリース料は24,000円になり、リース料の支払総額は2,016,000円で、リース会社に支払う金額は516,000円になります。
まとめ
リース期間は3年から7年の間で自由に選択ができます。
短い契約期間では毎月の支払額は高くなりますが、総支払額では安くなります。
長い契約期間では毎月の支払額は安くなりますが、総支払額では高くなります。
しかし、複合機選びは毎月のリース料だけでなく、印刷枚数の「多い少ない」を基準にして選んだ方が、リース期間中の快適利用ができます。
印刷枚数が多い利用の仕方をした場合、リース期間が終了する前に不具合が頻発するリスクがあります。
プリンター複合機の印刷枚数から考えるプリンターの寿命については、以下も併せてご覧下さい。
リース契約についてまとめた、以下も是非ごらんください。