プリンター、複合機はインク1セットでどれぐらいの枚数を印刷できるの?

インクジェットプリンターを購入して、美しい印刷結果に満足していると、必ず訪れるインク切れ。
特に本体購入時に付いてくるインクは、規定通りの枚数が印刷出来ない、確認用であると明記しているメーカーも多く、早々にインクカートリッジを購入する事になります。

純正インクの価格はとても高いです。
これは、プリンターの販売価格を抑えて安価に販売して、後々の消耗品で帳尻を合わせるビジネスモデルであり、それ故に「日本のプリンターのインク代は世界一」と言われています。

この世界一高いインクを利用して、どれだけの枚数を印刷出来るのか?
同じ金額を支払っても、印刷枚数で印刷コストは変わってくるので気になります。

インクジェットプリンター・複合機のインク1セットで、どれくらいの枚数を印刷出来るのか?インクの容量や印刷出来る枚数を解説します。

目次

インクカードリッジ一つの容量

インクカードリッジ一つの容量はものによって違いますが、大体10ml~20ml前後です。
インクによっては大容量、標準、小容量の3つにわかれており、印刷枚数によって使い分けできます。同じインクでも、たくさん枚数を印刷するのなら大容量を使ったほうがお得です。

具体的にどのくらいの容量が入っているのか、キャノンのインクカードリッジの容量をいくつか見てみましょう。

メーカー インクカートリッジ 容量
Canon BCI-380XL PGBK 約25.7ml
BCI-380PGBK 約18.5ml
BCI-381BK/C/M/Y/GY 約8.3ml
BCI-381XL BK/C/M/Y/GY 約11.7ml
BCI-380sPGBK 約11.2ml
BCI-381sBK/C/M/Y/GY 約5.6ml
参考:キャノン 【インクジェットプリンター】インクカートリッジの容量について

キャノンのBCIシリーズを見てみると、インクカードリッジ380の標準は約18.5ml、XL(大容量)だと約25.7ml、です。
381シリーズは写真印刷向きの染料インクであり、少し容量が少なく標準だと約8.3ml、XL(大容量)だと約11.7mlです。

販売されている金額から考えれば、インク容量が随分と少ないと感じられます。
比較的安価に販売されているBCI-380PGBKは、公式ショップで1,390円ですから、1mlで換算すれば75円程度という事になります。

正しく、「プリンターのインクは血液よりも高い」ですね。
問題は、これらのインク容量で、どれくらいの印刷が出来るのか?です。

インクカートリッジは標準サイズと大容量どちらがおすすめ?

上記でも紹介したとおり、インクカートリッジは標準サイズと大容量サイズの2つに分かれていることが多いです(メーカーによっては一回り小さい小容量サイズもあります)。

ではどちらのサイズを選べばいいのでしょうか。
容量や金額を見ると大容量の方がお得に見えますが、一概に大容量にすればいいわけではありません。
なぜならインクには使用期限があり、開封してから半年以内に使い切ることが望ましいからです。
そのため以下の基準で決めるといいでしょう。

・毎日頻繁に印刷をするのなら大容量
・数日に1度などそこまで回数が多くなければ標準

純正で最も割安なインクコストになるのは、最近増えている大容量インクを搭載するプリンターです。

従来のインクカートリッジと比較して、10倍くらい長持ちします。
エプソンでは「エコタンク」・キャノンでは「ギガタンク」・ブラザーでは「ファーストタンク」という商品名で、各社精力的にモデル展開しています。

大容量インク搭載モデルのプリンターは、本体価格が従来品に比べて高くなる傾向にあり、インクの販売価格も高くなっていますが、大容量のため印刷コストは安くなります。

大容量インク搭載のプリンターについては、「エコタンクプリンターとは?メリット・デメリットもあわせて解説

また以下に記載する1セットあたりの印刷枚数も見て、ご自身が印刷するペースを数字に置き換えてみるとちょうどいい容量がわかるかもしれません。

1セットで印刷できる枚数

ではインクカートリッジ1セットで具体的にどのくらいの枚数を印刷できるのでしょうか。
実際のところ、印刷できる枚数はインクの種類やプリンター性能に大きく左右されます。

ただプリンターメーカーは型番ごとの印刷可能枚数をオンラインで公開していますので、目安として数字を見ることが可能です。
A4文書で通常印刷に設定した場合の、各社の公表数値は以下のとおりです。
インクカートリッジを提供している主要な企業であるCanon、EPSON、brotherの3社の数字をまとめました。

機種 ブラック シアン マゼンタ イエロー
Canon XK90 2,280 519 466 519
EPSON EP4004 815 339 339 339
brother MFC-7400J 850 410 410 410
参考:
キャノン【インクジェットプリンター】インクカートリッジ1本で印刷可能な枚数について
エプソン 各プリンターにおけるイールド枚数(各色での印刷可能枚数)情報
ブラザー よくある質問 インクカートリッジ1個で、何枚印刷できますか?

色ごとの印刷可能枚数は300から2,000枚と、ばらつきがあることがわかります。
数字は色によるところが大きく、モノクロでの印刷かカラー印刷かによっても、どの程度印刷できるかが変わってくるようです。

ほとんどモノクロでの印刷をするのならインク1セットで800枚から2,000枚はプリントできますが、カラーの場合は300枚から500枚とみておくといいでしょう。

また顔料インクで大容量のインクカートリッジを使えばブラックのみで7,000枚以上印刷できるものもありますので、大量印刷する場合はインクの種類を見直してみることをおすすめします。

使い方によっては、色が偏ると特定のインクカートリッジの減りが早くなることもあるので注意しましょう。
使用しているプリンターの印刷可能枚数が気になる方は、メーカーの公式サイトで公表値をチェックしてみてください。

実際に何枚の印刷が出来るのか?

印刷枚数を製造するメーカーが大きく表記しない理由

実際に何枚印刷出来るのか?これは簡単な様で、非常に難しいです。
同じプリンターで単純に考えても、一文字だけ打ち込んだものを文書一枚と考えれば、かなり多くの枚数が印刷出来ますし、真っ黒に全面印刷したり、フルカラーで全面印刷したりした場合の印刷枚数は、大幅に少なくなる事は想像に難く有りません。

インクジェットプリンターを製造しているメーカーも、その辺りは承知していて、多くの製品では機種ごとの印刷枚数公称値を出していません。
印刷する内容はユーザー一人一人で全く異なり、基準値というエクスキューズを加えてでも「この印刷可能枚数は×××枚です」という表記を公称値として出すと、「規定の枚数に到達する全然前に、インクが切れた!不良品じゃないか?」という様なクレームが、ユーザーから続出する可能性が有ります。

インクジェットプリンターは、インクが固まることを避ける為・正常にパフォーマンスを発揮させるために、クリーニング作業を機械自体が行っています。
暫く使っていない状態でも、電源OFFの状態でコンセントは抜かない事を奨励する理由は、定期的に使用者の意思とは別のところで、機械が判断してクリーニング作業を行っているからです。クリーニング作業には、インクの消耗が伴います。ユーザーから見れば、印刷していないのにインクが減っていく状態でもあり、メーカーの考える印刷枚数の数値とは、時間の経過と共に必ず乖離していきます。

そのため同じ内容でも、連続して印刷するのか、時間を空けて印刷するのか?で、印刷枚数は大きく変わってきます。

インクジェットプリンターのヘッドクリーニングについては、「プリンターのヘッドクリーニングとは?」も併せてご覧下さい。

購入予定ユーザーが比較対象時に使う数値

自動車の購入を検討する時の指針になる数値として、燃費があります。
同じような車格でも燃費が異なれば、ユーザーが負担するガソリン代が変わってきます。
しかし、自動車の運転もユーザーによって大きく異なり、近所だけ脚代わりに利用するドライバーと、高速道路主体に走るユーザーが同じ燃費のはずありません。

燃費はあくまで目安ですが、「10モード」から「10・15モード」に進化して、更に「JC08モード」から「WLTCモード」へと、より実態に近い燃費表記へと進化しています。

同じように、インクジェットプリンターの購入を検討するユーザーの指針が必要だと考えられて、業界団体「JEITA電磁情報技術産業協会プリンター専門委員会」が、「家庭用インクジェットプリンターの印刷コスト表示に関するガイドライン」を設けています。

家庭用インクジェットプリンターの印刷コスト表示に関するガイドライン

このガイドラインは、国際的な基準ISO/IEC24711及びISO/IEC24712に準拠した方法を用いて、1枚あたりの印刷コストを算出するのが主旨です。

各メーカーが、同じ内容の印刷を規定に沿って行って出した1枚あたりの印刷コストが、自動車の燃費に当たるインク費として、ユーザーが検討出来る指針としています。

数値内容は3つあります。

  • L判写真印刷の用紙代を含めたコスト
  • A4サイズ文書カラー印刷
  • A4サイズ文書モノクロ印刷

基準になるインク・L判用紙価格は、標準小売価格かオープン価格の場合はオンラインショップで表記している価格で、A4サイズの用紙は含まれていません。

「L判印刷が用紙代込みで1枚あたり28円」と表記されていても、購入時の参考にはしても、実際に使用する中で厳密に測定して計算して、「規定通りの金額で印刷出来ない!」とクレームを入れるユーザーは、恐らく居ません。

ユーザーが欲しい数値

メーカーによっては、カラーインク別に印刷枚数を公表しているところもありますが、正直言ってピンと来ません。本当に欲しい数値は、購入した1セットのインクで印刷出来る枚数です。しかし、この数値の多くは公表されていません。

でも、計算する事は可能です。
たとえば、L判写真印刷コストから計算する場合

「インクセット公式販売価格」÷(「L判1枚あたり用紙代込価格」-「1枚あたりL判用紙公式販売価格」)=インク1セットで印刷出来る枚数

で、インクカートリッジワンセットで印刷出来る枚数が出ます。

公表している数値は、基本的に用紙もインクもコストパフォーマンスが高いタイプを用いて計算するのが基本です。

現時点(2021年9月)で、Amazonの扱うインクジェットプリンター複合機の販売ベスト5を計算したのが、下記の一覧です。

メーカー 品番 インク L判 インク代 用紙1枚 L判写真印刷枚数
epson EW-452A MUG-4CL 28円 4,169円 5円 177枚
epson EW-052A MUG-4CL 28円 4,169円 5円 177枚
ブラザー DCP-J987N LC111-4PK 21円 4,136円 4円 253枚
canon TS6330 BCI-381 19円 6,787円 4円 449枚
canon TS3330 BC-346XL 24円 5,324円 4円 267枚

 

計画的なインクの購入がおすすめ

インク1セットで印刷できる枚数は各メーカーが公表しているとおりですが、使い方によっては目安よりも印刷可能な枚数が減ってしまうこともあります。
なぜなら、時間がたつとインクが劣化して使用期限を迎えてしまうことで、新しいインクに交換する必要があるからです。

一般的にインクの使用期限は製造から2~3年、開封後は半年以内に使い切ることが推奨されています。
またインクの使用期限内であっても、一定期間複合機やコピー機を動かさないと、インクが固まってしまい使えなくなる恐れもあります。
温度や湿度が偏りがちな時期もインク自体がダメになってしまう可能性があるので、なるべく買い溜めはしないほうがいいでしょう。

インクは購入する種類によって、コストが高くつくものもあります。
まとめて買っても使用期限内に使えなければ、性能を最大限発揮できません。
使用期限を守って機能を損なわずに使うためには、計画的な購入を心がけましょう。

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この記事を書いた人

家電をはじめ、複合機などのオフィス備品にも強いWebライターです。今後は主にプリンターなどの備品を中心にリースやレンタル業界についても記事にしていきたいと思っています。

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