インクジェット方式のプリンターは、ヘッドと呼ばれるところから液体のインクを出して印刷を行っています。
液体のインクは空気に触れたままになっていると、固まって固形化する特性を持っています。
キャップを外したボールペンが、時間の経過と共に書けなくなる症状と全く同じで、インクが固まってしまうとヘッドから正常なインクの出力が困難になり、正しい印刷結果が得られない事態になります。
全ての色で出口が完全に固まってしまえば、インクカートリッジにインクが入っていても全く印刷ができない状態になりますし、一部のカラーが固まって出力できない場合なら、考えてもみなかった色合いの出力結果に呆然とします。
中途半端に塞がっている場合でも、文字の擦れや色合いの変化に繋がり、見づらく提出するビジネス文書としては利用ができません。
この、インクジェットプリンターに付きもののトラブルであるインクの固形化は、ヘッドのクリーニングによって多くは解消する事が可能です。
プリンターヘッドのクリーニングについて解説します。
インクの目詰まりは何故起こる?
インクジェットプリンター特有のトラブル、インクの目詰まりはどうして起こるのか?
原因は色々ありますが、主なものを見ていきましょう。
あまりプリンターを利用しない
オフィスに設置されているビジネスインクジェットプリンターは、使用頻度が高いのでヘッドのインクが乾く暇がありません。
しかし、家庭にあるインクジェットプリンターは利用頻度に大きな差があり、あまり利用しないケースでは年賀状作成を最後に、次の年賀状作成まで殆ど印刷しない場合もあります。
キャップを閉めたボールペンでも、長期間利用しなかった場合はインクが固まって利用できなくなるのと同様に、利用頻度が低いとインクがヘッドで固まるリスクが高くなります。
コンセントを抜いて保管
利用頻度が低いプリンターの場合、場所を占有する事を嫌って棚の中や押し入れにしまい込むユーザーも少なくありません。
よほど古くなければ、最近のインクジェットプリンターは電源が入っていれば、利用頻度をプリンター自身が判断して、インクが固まる事を防ぐクリーニングを自動的に行う機能が搭載されています。
正しくヘッドにキャップが嵌められていない
インクジェットプリンターの内部では、印刷を行わない時には規定の場所にインクカートリッジは格納されて、インクが乾かないようにキャップが嵌められます。
印刷終了後にプリンターがまだ動いている最中に、電源タップでのOFFやコンセントを抜かれて強制的に電源が落ちた場合、インクカートリッジが規定の場所に戻る事ができず、ヘッドはキャップを嵌められないまま放置される事になります。
インクジェットプリンターのインク目詰まりの原因と対策については、別項の以下も併せてご参照ください。
ヘッドクリーニングとは
ヘッドクリーニングはインクジェットプリンターに備わっている機能の一つで、固まったヘッドのインクなどを除去する効果があります。
固まってしまったインクが通常のインクに触れる事で溶け出し、正常な機能を取り戻すのが基本的な仕組みです。
加えて、インクの成分に含まれている融解成分を有効に使って、通常の印刷よりも高い圧力をかけてクリーニングを行います。
ヘッドクリーニングは強度を何段階か選べる事が多く、この強弱でかける圧力が変わり、使用するインク量が変わってきます。
強い圧力をかければ、インクを送り出すノズルの途中に空気が入り込んだトラブルも、解消する事が期待出来ます。
いずれにしても、ヘッドクリーニングでは印刷を行わなくてもインクを消費します。
ヘッドクリーニングの方法
ヘッドクリーニングの方法は非常にカンタンです。
今回は、キャノンのプリンターを例にご説明していきます。
まず、プリンタードライバーの「設定画面」を開き、「ユーティリティ」の中にある「クリーニング」をクリックします。
すると、クリーニングダイアログボックスが表示されるので、ボックス内の「クリーニングを行うインクグループ」を選びましょう。
次に、「実行」をクリックすると、プリンターのヘッドクリーニングが開始されます。
しばらくしてヘッドクリーニングが終わると、「ノズルチェックパターン印刷」のダイアログボックスが表示されます。
ノズルチェックパターン印刷とは、ノズルが正常にクリーニングされたか確認するために行う試し印刷のことです。
試し印刷する場合は「確認パターン印刷」をクリックして印刷します。印刷しない場合は「キャンセル」をクリックしてください。
もし、ヘッドクリーニングをしても問題が解決しない場合、「強力クリーニング」という機能があるので使ってみてください。
強力クリーニングとは、通常のヘッドクリーニングでは取り切れないノズルの目詰まりを、より強力な力で清掃する機能です。
強力クリーニングの方法は、まずプリンタードライバーの設定画面を開き、「ユーティリティ」の「強力クリーニング」をクリックします。
「強力クリーニング」のダイアログボックスが表示されるので、「強力クリーニングを行うインクグループ」を選び、「実行」をして「OK」をクリックします。
強力クリーニングが終了すると、通常のヘッドクリーニングと同じく、ノズルチェックパターン印刷ができますので確認してみてください。
ヘッドクリーニングのやり方については、以下も併せて是非ご覧下さい。
ヘッドクリーニングで改善しない頑固なインクの目詰まりには、市販の洗浄カートリッジを利用する手段があります。詳細は以下を御確認ください。
プリンターは精密機械であり、これらの手順を踏んでも解決しない場合は、販売元や販売業者に問い合わせることをおすすめします。
壊す覚悟でプリンターを分解して、インクの目詰まり解消にチャレンジした顛末の、以下も併せて是非ご覧下さい。
ヘッドクリーニングはやりすぎ注意!
ヘッドクリーニングをすればノズルの目詰まりがなくなり、キレイに印刷することができます。しかし、クリーニングのやりすぎは禁物です。
ヘッドクリーニングは、トナーのインクを大量に噴射してノズルの目詰まりを解消するという仕組みになっています。
印刷をするわけでもないのに、ヘッドクリーニングでは効果なインクを大量に消費するので、頻度を考えれば電源ONの状態でプリンターに任せるか、1週間に1回のペースで印刷を行うか、前述の洗浄カートリッジを別途購入する方がコスパは良くなります。