昨今は写真を撮る機会が増え、同時にそれをプリントアウトして印刷物を作成することも多くなりました。
単にコピー用紙に印刷するだけでなく、例えばはがきや名刺、チラシなど用途によって使用する紙の種類も大きく変わります。
今回は家庭用プリンターで印刷できる厚紙の種類を筆頭に、他のプリンターとの性能の違いや、万が一詰まった際の解消方法についてご紹介していきます。
用紙の厚みと単位
身近な用紙の厚み
触った厚みで何となく厚みがある事は理解出来ますが、身近にある紙の種類の厚みを数値で見てみましょう。
単位は実数の紙厚で単位はmmです。
スーパーのレシート | 0.04mm〜0.05mm |
おみくじ | 0.05mm |
ティッシュ | 0.08mm |
商品券 | 0.12mm〜0.13mm |
模造紙 | 0.15mm〜0.20mm |
電車の切符 | 0.21mm〜0.25mm |
表彰状 | 0.26mm〜0.30mm |
名刺 | 0.31mm〜0.35mm |
封筒 | 0.36mm〜0.40mm |
コースター | 1.00mm |
免許証 | 2.00mm |
免許証の厚みが、意外と厚いのは透明なプラでカバーリングしてあるのに加えて、ICチップが埋め込まれているからかもしれません。
ただ、免許証そのものをプリンターに印字する猛者はいませんよね。
紙の厚さの単位
紙の厚さを示す単位は「cm」や「mm」でなく、「g/㎡」と表記する、斤量という単位が多く用いられます。120g/㎡の様な使い方をします。
同じサイズの用紙が、重くなるほど厚みが増す事で比較検討する時に使いやすい単位で、1平方メートルあたりの紙1枚の重量を表しています。同じように見える紙でも、この単位で表すことにより高級感が解りやすくなります。
家庭用プリンターで厚紙を印刷する方法は?
一般的に家庭用のプリンターで印刷可能な範囲は0.3mmまでと言われています。もちろん、メーカーや機種によって詳細は異なるので、ご自身でも事前に確認するようにしてください。
具体的な用紙の種類を上げると、普通コピー紙は当然クリアです。また、印刷する機会が多い年賀はがきは0.2~0.23mm程度のためこれも印刷可能です。しかし、名刺や封筒などになってくると、ほとんどが0.3mmを超えてしまうため、うまくプリントアウトすることができません。
予期せぬ故障を防ぐためにも、家庭用プリンターではコピー紙かはがきの印刷までに留めておくのが良いでしょう。
また、ここで注意点があります。プリンターは原則としてコピー紙の印刷を想定しているため、厚紙を印刷する際には手差しトレイを使用することが多いと思います。その際、一度に大量にセットしてしまうと紙詰まりの原因になりかねないので、必ず1枚ずつ様子を見ながら印刷するようにしましょう。
インクジェットプリンターでは、前面給紙と背面給紙が出来るタイプが多くなっています。
機種によって異なりますが、定格サイズの普通用紙以外を利用する場合、手差しは背面給紙トレイを使う事が大半です。
また、決まった定格サイズの用紙だけで無く、様々な用紙に利用出来る手差し印刷は、ここにはとても詳細を書ききれません。
それぞれ、別項の「プリンターの前面給紙と背面給紙とは?メリットとデメリットを解説」「手差し印刷とは。メリットを紹介」も、併せてご覧下さい。
インクジェットプリンターとレーザープリンター
インクジェットプリンターとレーザープリンターは、同じ印刷をする道具としてのプリンターであっても、印刷する方法が全く異なっています。
レーザープリンターは熱を使う印刷方式のため、熱の浸透が困難になる厚紙の利用には不向きですが、インクを用紙に吹き付けるインクジェットプリンターの方が、対応範囲は広くなります。
印刷方式の違いについての詳細は、「インクジェットプリンターとは?そのメリットとデメリット」も併せてご覧ください。
インクジェットプリンターの厚紙印刷
厚紙をインクジェットプリンターで印刷が可能かどうかは、基本的に給紙が出来るか?ということです。給紙が可能ならヘッドが紙上を走って、インクを吹き付けられる場合は、印刷が進行できます。
(g/㎡) | (mm) | ||
特厚口 | 127.9 | 0.16 | 薄手のはがき |
最厚口 | 157 | 0.19 | 名刺や本の表紙 |
超厚口 | 209.5 | 0.26 | 官製はがきや名刺 |
これ以上の厚紙に直接印刷をすることは難しく、透明フィルムに印刷をして、紙に貼り付ける事で対応します。商品名により「転写シール」「転写シート」「転写フィルム」等様々ですが、出来る事は基本的に同じです。
見栄えは、一歩フィルムを利用するのに比較すれば劣りますが、普通用紙に印刷して貼れば、別途フィルの購入は必要有りません。
レーザープリンターの厚紙印刷
レーザープリンターの場合はインクジェットと異なり、トナーを定着させるために加熱します。厚紙の場合は強く加熱する必要が有り、紙表面の加熱が不充分な状態では、トナーが定着出来ないで、出力された厚紙はざらざらした感じの使えない失敗作になります。
加熱工程で熱量を上げるために、印刷速度を落とす必要が有り、印刷前に厚紙モードに設定を変更する必要が有ります。
しかし、加熱することで、別の問題が生じる可能性が有ります。
大きな熱が掛かる事で紙が反り返り、排紙時に詰まるケースが生じやすくなります。
レーザープリンターは普通用紙に特化している分、厚紙の印刷には不向きと言えます。
印刷した時の擦れは、用紙の問題以外にも様々な原因があります。
「プリンター、複合機の印刷物のかすれ・色むら・ずれ対処法」も併せてご覧ください。
厚紙はコンビニでも印刷可能なの?
そもそも家にプリンターがない人や、大量に印刷したいものがある場合、真っ先に思い浮かべるのがコンビニのマルチコピー機ではないでしょうか。
最近はさまざまなプリントサービスを行っているコンビが増え、ますます注目度が高まっています。そんなコンビニで印刷可能な厚紙はというと、はがきと写真が主な対象です。一般家庭用のインクジェットプリンターとは違い、レーザープリンターを使用しているため、より美しい仕上がりになるのが特長です。
一方で、画用紙や名刺、そのほか需要がありそうな厚紙に対しては対応していない場合がほとんどです。コンビニによってはアプリ経由の名刺プリントサービスもありますが、実際に使用した人の口コミを見てみると「ペラペラでお世辞にも厚紙とは言えなかった」という意見が目立ちました。コンビニでは使用できる紙の種類は限られているため、名刺といいつつも普通のコピー紙を使っている場合が多いです。
コンビニは使える紙が限定されます
コンビニのコピー機はマルチコピー機が増えていて、単純にコピーやFAXをするだけで無く、写真印刷やスキャンサービス・ネットワークプリントや独自のコンテンツサービスを行っている他、行政サービスの利用も広がっています。
しかし、不特定多数の利用者が精密機械を扱うリスクと、サービス提供側の利益確保の観点から、紙を持ち込んでプリントする事を、コンビニエンスストア側は、基本的に容認していません。
前述の様に、厚紙をレーザー方式のプリンターで行う事は色々なトラブルを生む可能性が有り、葉書の印刷は出来ますが、持ち込み葉書は対応不可になっているケースが多くなっています。
紙を持ち込んで印刷を行う場合は、キンコス等のビジネス専門コピー屋さんの門を叩いた方が良いですね。
コンビニエンスストアのマルチコピー機は、紙以外にも利用出来るデータ形式やフォント、持ち込み対応出来る記録媒体メディア等、様々な制限があります。
詳細については、「コンビニ複合機じゃダメ?コンビニ印刷のメリット・デメリット」も併せてご覧下さい。
オフィスプリンターの厚紙印刷はどこまでできる?詰まった時はどうしたら良いの?
家庭用とは違い、高性能で機能も多いオフィスプリンターはどこまで印刷できるのでしょうか。
一般的には1.2mm程度の厚さまでは対応できるといわれており、はがきはもちろんのこと、名刺、表彰状、ポスターなどさまざまな厚紙を印刷することができます。また、封筒への印字などもよくある活用方法のようです。
やはり業務用になると一気にプリントできる用紙の幅が広がりますね。
もし万が一紙詰まりを起こしてしまった場合は、速やかに印刷を中止し、取り除けるようであればガイドブックや操作手順に従って慎重に引き抜いてください。無理やり引っ張ってしまうと、プリンター内の精密機器を壊してしまいますので、あくまでもゆっくり行うようにしてくださいね。それでも解決しなかった場合は速やかにメーカーや販売店に連絡するようにしましょう。
オフィスで厚紙印刷時の注意点
プレゼンテーション用に使う資料なら、規定内の厚紙用紙に印刷をする事で見栄えが大幅に良くなります。その場合、以下の点にご注意ください。
設定の変更
印刷する用紙は、用紙トレイではなく手差しトレイを利用します。
加熱処理時間の変更をするため、印刷前に厚紙印刷に設定を変更してください。
LANで繋がったパソコンから印刷する場合は、ドライバの設定で変更します。
後から利用する人へのマナーとして、設定は通常の普通紙に戻しましょう。
1枚ずつ
熱処理をした厚紙は、反り返りやすく紙詰まりのリスクがあります。
連続印刷は避けて、1枚ずつ用紙をセットしてください。
メンテナンスも大切
厚紙印刷は、通常の用紙よりもトラブルを誘発する可能性が高くなります。
トラブル回避のためには、プリンターがベストコンディションで稼働出来る事が重要です。
紙詰まり対策には、給紙ローラーのクリーニングが効果的です。
まとめ
最近は個人でもさまざまなプリントサービスを受けられるようになり、とても便利な時代になりました。
しかし、思わぬ故障やトラブルを防ぐためには、ルールに則ったうえで正しく使用することが何より大切です。
何を印刷するにしても、事前に可能範囲や注意事項をしっかり確認しておくようにしてくださいね。